未来の働き方を考えよう ~ごみ拾いが仕事になる日を夢見て~

2021.4.8

ハラコー

皆さんは『ごみ拾い』という言葉を聞いてどんなイメージが頭に浮かびますか?

気が進まないけど参加しなければならない、ダルい地域活動?

環境保護団体など一部の人達が熱心に取り組むボランティア活動?

今回の記事では、「ごみ拾いが仕事になるようにしたい!」と本気で考えて活動しているプロジェクトとその活動を推進する人について紹介しようと思います。

美しい海がごみで汚されている

丹後半島は『海の京都』と呼ばれ、美しい海の景色と海産物を求める方が多く訪れる観光地です。

京丹後の美しい海

海の透明度は、沖縄と遜色無いほど澄んでおり、その美しさを眺めているだけで心が洗われるような場所です。

しかし、ビーチの一部には風や波で打ち寄せられたごみが大量に打ち上げられています。

砂浜に打ち寄せられた大量のゴミ・・

この状況をなんとかしたいと考え、地域の方々が海洋清掃(ビーチクリーン)活動を行っていますが、次々に打ち上げられるごみを最終処分場という名の集積場に運んでいるだけで、ゴミ問題の根本解決には至っていません。

プラスチックごみを何とかしたい

数あるゴミの中でも、自然に還元されないゴミ問題は深刻です。

粉々になったプラスチック(マイクロプラスチック)を動物や魚が誤って食べてしまうことで生態系に与えるダメージが深刻になっていると言われています。

自然に還らないプラスチックごみ・・

ゴミ問題にチャレンジするアツい男!!

そんな残念なプラスチックごみですが、あえてこれを素材として活用し、新たなアイテムに蘇らせる取組みが京丹後で始まっています!!

この課題に挑むのは、京丹後市網野町の地域おこし協力隊 八隅 孝治(やすみ こうじ)さん

地域おこし協力隊 八隅 孝治さん

八隅さんは京丹後市網野町で地域おこし協力隊として活動しながら、地域内をeバイク(電動アシスト自転車)で周遊するツアーを提供する「丹後エクスペリエンス」を営まれています。

八隅さんは地域おこし協力隊の活動やeバイクで地域を周るうちに、美しい海がゴミで汚染されている現状を知り、「この問題を子どもの世代に残してはいけない!」と感じたそうです。

しかし、ゴミを埋め立てるだけでは根本解決にならないと気づき、オランダ発祥のプラスチック再生プロジェクト「Precious Plastic」という取組を知り、日本でその活動を行う鹿児島県のダイナミックラボ という場所に1週間泊まり込んで、プラスチックを粉砕するシュレッダーを作成してしまったそうです!!

プラスチックを粉砕するシュレッダー(手作り😲)

さらに!

その3か月後には、粉砕したプラスチックを溶かして射出成型(溶けたプラスチックを金型に押し込む)するための機械『インジェクションマシン』という機械まで作ってしまったそうです!!

驚くべきは、八隅さんはこれまで機械製作の経験は全く無いということ(!!)です。

『海をキレイにしたい』という気持ちだけで、ここまで行動に移すことができる人を(少なくとも筆者は)見た事がありません。

プラスチックを溶解&射出成型する インジェクションマシン

プラスチックごみによるものづくり

八隅さんが作った、プラスチックシュレッダー と インジェクションマシン を使って作られたアイテムがコチラ

↓↓

プラスチックごみからつくられた『マーブルタイル』

コースターとして使用する事もできるし、壁や床にタイルとして敷き詰めて使うこともできるそうです。

数分前までは海岸に漂流したごみだったものが、目の前で新しいアイテムに生まれ変わるプロセスを目の当たりにして、筆者は何か夢でも見ているかのような感覚にとらわれました。

ごみが資源として生まれ変わる?!

八隅さんはこのプロジェクトが持つ意味について語られました。

八隅さん「自然を汚す悪者として見られているプラスチックごみですが、新たな価値を創る資源として認識すれば、世の中には膨大な資源に満ちていると考えることができます。そう考えれば、海岸清掃活動は単なる無償の労働ではなく資源の発掘と捉え直すことができると思います。」

!!!!!!!!!

まさにコペルニクス的発見!

海を汚す悪者だったプラスチックを『資源』として捉えることができれば、新たな価値を生む資源をタダ(無料)で手に入れることができるようになる! と八隅さんは考えているのです。

八隅さん「僕は将来、『自分の職業は海岸清掃です』と言えるようになりたいんです。大好きな海をキレイにする活動で生活することができて、海岸清掃したいという仲間が増えて、子ども達に美しい海を残すことができたら、こんなに幸せなことはありません」

私達に何ができるのか

京丹後には、こんなに純粋な気持ちでアツく活動する大人がいるんですね。

わずか半年(!!)の時間で、想いをカタチにした八隅さんの行動力を目の当たりにすると、本当に海岸清掃が職業になる日が来るのではないか・・と感じずにはいられません。

今後、八隅さんは毎月第2日曜日に『KOBAMA BEACH CLEANUP』という、誰でも参加できる海岸清掃活動を行っていくそうです。海岸清掃活動の中では『やすみのプラスチックスクール』も開催するそうです。

海洋ゴミ問題を前向きに解決していこうとする八隅さんの活動に共感された方は、ぜひ一度ビーチクリーン活動に参加してみてください。(筆者も参加していきたいと思っています)

彼の挑戦を目の当たりにすれば、未来への新たな可能性を感じていただけると思います。

八隅さんと彼を応援する仲間たち

 

—-【あわせて読みたい】———————-

Precious Plastic Tangoの挑戦 #1 ~ゴミを価値あるものに生まれ変わらせたい~

京丹後の美しい海と空 #私の好きな場所

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