~潜入レポ~ 京丹後で心暖まる1杯 昔ながらの中華そば屋 『平源』 の魅力に迫る

2022.2.21

ハラコー

ローカルの飲食店には、都市のチェーン店には真似することができない魅力がある。

それの魅力は『お店の歴史』や『雰囲気』や『経営者の想い』など、お店に行かなければ分からないものが多く、評価・メニュー・価格・味の感想が中心のネットレビューには反映されづらいものが多い。

おそらくこの記事でも読者に100%お伝えすることは難しいかもしれないが、わずかでもその魅力を伝えたいと思って書いてみようと思う。

昔ながらの中華そば屋「平源」さん

今回紹介するのは、京丹後市 弥栄町にある『平源』さん

この日は雪が吹雪いており、一刻も早く暖かい一杯を求めてたどり着いた。

平源さん外観

この外観からもチェーン店では出せない、なんともいえぬ風情を感じる。
(お店から道路を挟んだ向かい側に広い駐車場がある)

平源さん 入り口

個人的にたぬきの置物はうどん屋さんにあるイメージがあったので、ラーメン屋さんにコイツが立っている姿は一種の違和感を感じるものの、これもまた一興。

植木スペースには『平源中』という札も置いてあった。
(平源なう、という意味だろうか?)

店内はこんな感じ

外観からはイメージしづらいが、店内の雰囲気はとてもアットホームでくつろげる空間になっている。

平源さん 店内

カウンター 7席
テーブル  6席
座敷    6席

となっていて、お1人様でもグループでも子連れでも対応できる作りになっている。

平源さん メニュー

メニューはとてもシンプルだ。

まず、ベースとなるメインメニューは3種類
①中華そば 500円
②チャーシュー麺 700円
③カレーライス 500円
から選択する。

その後、
・大盛 +100円
・セット +100円(ごはんとおかず付)
・セット大盛 +200円
・ご飯大盛プラス +50円(カレーのご飯増量)

といったオプションを付けていくシステムになっている。

驚いたのは、この令和の時代に税込み500円でラーメンを提供していることだ。

女将さんいわく
「12年前にリニューアルオープンした時から価格は変えていない。ワンコインで食べに来られる店にしたいので、ずっと値上げをせずに頑張っている」そうだ。

さらに聞くと
「実は消費税が10%に増税された時に上げるべきだったのだが、うっかりしていた。ホントは値上げするべきだったんだけど、お客さんが喜んでくれているならそれでいい」という本音も打ち明けてくれた。
この価格はお店にとってラクではないけど、開店当初のコンセプトとお客さんが喜んでくれているから続けられているという、まさに愛情価格なのだ。

いざ、実食!

私はこの時点で「記事にせねば!」と思い、記事の写真映えのこともしっかり考え、奮発してチャーシュー麵(700円)を注文することにした。

店内奥の厨房にいるご主人に注文が通り、出てきたチャーシュー麵がコチラ!

控えめに言って、めちゃんこうまそうである。
(ちなみに、中華そば(500円)はチャーシューが2枚入りとなる)

器を渡してくれた女将さんに「めちゃんこうまそうですね!!」と思ったままのコメントをすると

「スープもチャーシューも自家製だからね!!」と笑顔で応えてくれた。

自家製のスープ&チャーシューで、中華そば1杯500円なの!?

「朝からスープは仕込んでいるし、チャーシューは注文されてからお客さんの顔を見てから店主が切っているのよ。そっちの方がおいしいらしいのよ。だから混んでるときは少し時間がかかるんだけど、おいしいもの食べてもらいたいもんね」

”おいしいらしいのよ・・”と、人ごとのように笑うおかみさん。

雪の中来店した私だが、食べる前から心が温まる想いだ。
そして実食!!

正直言って私はグルメ記事を書くには向かないバカ舌の持ち主だが、こんなステキなエピソードを聞いた上で目の前にあるチャーシュー麺がおいしくないはずがあろうか。いや、ない(反語)

脂ののったチャーシューとしょうゆベースのスープが、芯まで冷えていた私の身体の隅々にまでいきわたり、生き返るような想いだ。

言葉も忘れチャーシュー麺を食べる私に女将さんがトッピングに勧めてくれたのは、手作りの唐辛子。
「ラーメンに唐辛子?」と聞き返す私に
「うどん屋さんみたいでしょ?でもお客さんに好評だから使ってるのよ!」
と答える女将さん。

お店の玄関にあった、たぬきの置物が脳内で再生され
「こんな風に一般常識に縛られずにお客さんの声や自分の感覚を信じてお店を営んでいるのが、ローカル個人店の魅力だな!」と改めて想い、最後のたのしみに残しておいたラスト1枚のチャーシューと料理に込められた想いを嚙みしめるのであった。

自家製スープ(唐辛子入り)を最後まで飲みほし、私は満足の境地に達した。
ただ、唐辛子が思ったより強烈だったようで、スープを飲み干した後で大量に顔から汗がほとばしるのであった。

食後のコーヒーと女将さんとの談話

なつかしのハンカチ王子をほうふつするように私がハンカチで顔を拭っていると、女将さんがアイスコーヒーを差し出してくれた。

そう、このお店は食後にいつもアイスコーヒーをサービスしてくれるのだ。

“コーヒー専門店監修”とパッケージに書かれた市販のジョージアのボトルコーヒーだが、(専門店が監修してくれているのだから)食後の一服には十分おいしい。
そして、中華そば1杯500円の愛情価格を提供してくれている中で食後にサービスしてくれるという気持ちが何よりうれしい。

「時々、コーヒー出すの忘れちゃうんだけどね!!忘れてたら言ってちょうだい!ハハハ」

こんなやりとり、チェーン店では決してないだろう。
こうやって談笑できることが、お店にとってもお客さんにとっても最高の時間なのかもしれない。
※女将さんに写真を撮っていいか聞いたが「あと10年早かったら・・・」と丁重に断られた

コーヒーを飲みながら、いろいろお話をしてくれた。

・お腹いっぱい食べたい人は、中華そば+カレーライス(1,000円)がおススメであること
・セットに出てくるおかずは気まぐれで、今日は煮込みハンバーグだったこと
(ラーメン屋ですよね?)
・お米も自家製で、全て「平源の田んぼ」で収穫したお米を使っていること
・コロナ禍以降は無休でがんばっていること
・表にあった「平源中」の札は娘さんが中学生の頃、工作で作ったものであること
(先生のアドバイスで作ったそうだ。どんなアドバイスだったのか気になるが・・)

改めて店内を見渡すと、ディスプレイもかなり個性的だ。

きっと、お店の歴史・家族の歴史・お客さんとの歴史が作ってきたものなんだろう。

 

 

「ごちそうさまでした」と言って店を出ると、入店前と変わらず雪が降り続いている。

しかし、平源さんを出た私には、入店時にはなかった確かなぬくもりを感じるのであった。;

まとめ&平源さん お店情報

いかがだっただろうか。

この記事で読者諸賢にローカル飲食店の魅力、平源さんの魅力が少しでも伝わったならうれしい。

最後に、平源さんの店舗基本情報とあわせて、まとめさせてもらう。

【平源(昔ながらの中華そば)】
所在地: 〒627-0111 京都府京丹後市弥栄町溝谷3440
・定休日:0のつく日(10日、20日、30日)
 ※ただし最近は無休で営業している
 ※ただし臨時休業することがある。
 ※営業中の時はお店玄関の黄色いパトランプがまわっている
・営業時間 昼:11:30~13:30 夜:16:00~20:00

・税込み500円からの愛情価格
・ガッツリ派には中華そば+カレー(1,000円)がおススメ
・スープ・チャーシュー・お米・唐辛子は自家製
・チャーシューは注文されてから切るというこだわり
・食後にアイスコーヒー(時々忘れる)を提供してくれる
・お客さんが満足してくれることにこだわるお店
・お1人様、グループ、ファミリーで来店できるお店
・いろんな意味で魅力がある、とても味わい深いお店

個人的にもまた来店したいお店なので、あまり無理をせず、ほどほどに休みながらお店を営んでもらいたい。

皆さんも、身も心も暖まる一杯が食べたくなったら、一度足を運んでほしい。

現場からは、以上です!!!!

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