【サブカル語らせろ!】お笑い業界に思うこと。U設計室大垣さん(後編)

2021.9.23

けんご

いろいろな人にサブカルの話を聞く企画の後編

 丹後の魅力的な人々の本業とは別の顔を探ちゃう企画”たんポケでサブカル語らせろ!”。前回からかなり間が空いてしまいましたが、U設計室の大垣さん編の後半です!前回の記事を振り返りながら、読んでみてくださいね。

前回記事 : 【第1回】僕が好きな芸人はこの人!U設計室大垣さん(前編)

U設計室 大垣優太さん

これからのお笑い芸人って?

けんご : お笑いの話、いろいろとしてきましたけど、バラエティ番組の今後ってどうなると想いますか?

大垣 : 以前に比べてテレビを見る機会は減ってきましたね。ラジオやポッドキャストが手軽に楽しめるので仕事や作業中によく聴いていて、一方テレビはずっとその場所にいないと内容が入ってこないので・・・

けんご : 確かにデバイスもメディアも増えて、楽しみ方も人それぞれになってきました。

大垣 : 個人的に通信インフラが整備されてきた今、なんでも動画配信できるようになってお笑い界がより厳しくなってきたと感じています。あっちゃん(オリエンタルラジオ中田敦彦)や宮迫さんなんかは、テレビから飛び出してYouTubeで成功していますよね。

けんご : 僕も芸人さんのYouTubeはよくみてますね~。

大垣 : テレビ業界にあるようなルールや型がYouTubeには無いので自由に何でもできる分、芸人としてのゴールがわからなくなってきたんじゃないかな。昔はテレビに出ることを目指して頑張っていれば良かったものが、今は変わってきていて芸人さん自身が誰に対して何をしていきたいかを決めて活動しないと厳しそう。

けんご : ふむふむ

大垣 : 昔のナインティナインとかは事務所からのプッシュでテレビを中心に活躍できていたけど、最近のお笑い第7世代はくくられた事で活躍の場が偏ってしまったり、ブームが去った途端に勢いを失っている気がします。

けんご : ハリウッドザコシショウなんかは、昔から変わらない芸風でファンがついていてブレイクした今も変わっていないし今後も変わらなそうですよね。去年のM-1で優勝したマヂカルラブリーも劇場主体で活動していたけど、テレビに出るようになってスタンスが問われそう。

大垣 : そうそう、そういう意味でも事務所の人が、この芸人さんのためになにをしてあげたらよいかを考えながら運営していかないと、芸人と事務所の関係が成り立たない。江頭2:50は事務所から見放されたのにYouTubeでは大人気ですし。

けんご : エガちゃん。笑 テレビはネットメディアほど小回りがきかない分、機材や資金力はありますよね。

大垣 : テレビは高齢者がターゲットになっているし、お笑いも高齢者に向けたコンテンツになっていきそうですよね。

けんご : 昔のめちゃイケは、勢いよく転がってくる巨大タイヤをケツで止めるような企画が当たり前のようにやっていたのに・・・

大垣 : 風雲!たけし城なんかは、ゲームコーナーの中で芸人さんにバズーカ当ててましたからね、人に対してやることか!という企画を普通にやっていたよね。今と比べるとヤバい時代だったけど面白かったなー。

けんご : 激しさからくる笑い、ありますよね。笑

大垣 : 時代が進むにつれて規制がどんどん増えてきて、世間からの声が厳しければ放送内も制限されて・・・その点ラジオは規制がテレビほどないので自由だし、選択してる側の責任みたいな空気があっていいんですよね。

お笑いの話からメディア論へ話が盛り上がる…僕ら誰やねん

他の業界にも通じること

大垣 : けんごくんは今後のバラエティどうなっていくと思う?

けんご : 大垣さんとほぼ同意見でテレビはちょっと厳しい印象ですね。前にみたネットの番組で普段からテレビに出てる人が、コロナで変化する社会構造に一番対応していないのはテレビ業界だと感じてる、と言っていました。身近にいる人がそう感じているなら、業界の構造として恐ろしいなと。

大垣 : なるほど、なるほど。

けんご : そう考えるとテレビを主戦場として戦い続けるのはいつか限界がきそうだし、M-1優勝を目指すのは良いけど、そのあとどうするのか?と思ってしまいますね。これはテレビに限らずいろいろな業界や生き方みたいな話ですが、大きな山を目指すのもいいけど、それだけじゃなくてBCプランもないと楽しく生きていけないのではないかなとか思います。

大垣 : そうですよね、M1チャンピオンの年収とYou Tubeの年収データとか出たらオモロイかも。本当にそこを目指していくのか?という判断ができる情報があると面白そう。芸人として目指すべきは、お金なのか、名声なのか、それに向けてどういうスタンスでいくのか。これは設計事務所も同じですね。

けんご : わかります、わかります!僕も農家としてもそうですし、個人的にいろいろな事をやっていきたいタイプなので、どんな生き方をしていきたいかって大事ですよね。

大垣 : いろいろなことに興味を向けながら、本業をやっていくくらいがちょうどいいですよね。笑

けんご : そうですよね。なんだかお笑いの話から、最後は働き方!みたいな話へ移っていきましたが、とても楽しい時間でした。今日はありがとうございました!

編集後記

 大垣さんとお笑いの話をするようなになったのは、2年ほど前から。僕の自宅で開催していたM-1を観る会(M-1グランプリ丹後審査会場と勝手に名付けて。笑)がきっかけでした。お互い好きな番組や芸人さんは異なるものの、共通しているのはお笑いが好きな点と芸人さんの事を常にリスペクトしている点。ネタ中や番組に出ている時の芸人さんは表の顔で、裏では誰よりも真剣にお笑いの事やお客さんのことを考えていて、そんな姿に僕たちは心を掴まれている気がします。

 いつ出会っても物腰柔らかな大垣さん。年下の僕にも常に敬語で丁寧なコミュニケーションをとってくれる姿は、自分の行動や態度は大垣さんほど丁寧なのかな?と自問自答しちゃうくらい誠実さに溢れています。お笑い以外にも音楽など他ジャンルの話をする機会も多いのですが、大垣さんは常に人や作品に対して真摯な目線を持って会話をしてくれるので、話が盛り上がり、僕もアツく語ってしまう。楽しい1日だったなぁ。