“モノづくりが好き”が原点 京丹後で一番小さいパン屋「OTUKA みほパン」

2022.12.19

川口優子

「夕日ヶ浦に小さなパン屋さんがあるんだけど、コーヒーも飲めて、店主の美帆さんもとってもおもしろい人で」と、友達に教えてもらったことがきっかけで知った「OTUKA みほパン」。インスタを見てみると、「京丹後で一番小さいパン屋」と書かれており、フィード画面にはなんとも美味しそうなパンやドーナツがずらりずらり。パン好きの私。「これは一度食べてみたい!」と、友達にアテンドしてもらって行ってきました!そしてそして、初対面ながら、根掘り葉掘りインタビューさせていただきました ^ ^

OTUKA みほパンの大塚美帆さん

店舗は浜詰園地(夕日公園)から徒歩3分

店舗は、夕日ヶ浦にある浜詰園地(夕日公園)の無料駐車場から歩いて約3分のところにありました。とってもかわいらしい感じです。

ドアを開けると、笑顔で迎えてくれたのは店主の大塚美帆さん。カウンターには、パンやサンドイッチがずらり。ブルーベリーのいい香りもします。

早速カウンターに座り、パンとコーヒーをいただきます。

「塩パン」がとってもおいしい

川口:定番やおすすめはありますか?

大塚:やっぱり「塩パン」か、最近はドーナツかな。

めちゃおいしい「塩パン」

川口:(塩パンを一口食べて)モチモチしててめちゃめちゃおいしい!

大塚:網野の琴引の塩を使ってて。

川口:中にも塩バターが入ってて、これはハマりますね。

インスタにもよく上がっているドーナツもいい感じ。いろんな味があるみたい。

いろいろな職場を経験した20・30代

網野出身だという大塚さん。この地でパン屋をはじめるまでの経緯を伺いました。

大塚:高校当時、進路に迷っていて。子どもが好きで、でも小学校の頃から英語も大好きだったし、保育と英語のどっちに行こうか悩んどって。結局、英語の短大に進んだんやん。

川口:あ、インスタのプロフィールにも「英語が好き」って書いてありますね。

大塚:でも、短大卒業したけど、「結局自分でなんとかせな学校任せでは喋れない」っていうことに気づいて。学校任せで、自分が喋らなんだら何にも喋れない。喋れる人は、自分で喋る環境をつくってやってるって。

かわいらしい店内

大塚:卒業して1年くらいは京都市内に住んどったんだけど、やっぱ帰ろうと思って、地元に戻ってきた。網野に新しく旅館がオープンするのにスタッフを募集していて、そこで働こうと思って。当時の丹後も、カニの時期はお客さんもバンバン来てて、フロントだったんだけど、接客も手伝っていて、本当に忙しかった。

川口:さすが、夕日ヶ浦の旅館って感じですね。

大塚:で、3年くらい働いたんだけど、そこでまた進路に立ち止まって。また保育の仕事がチラつき始めて。

川口:忘れられない保育の仕事。

大塚:うん。でも、保育の大学に行く勇気はなくって、保育所のお昼寝の仕事をやったんよ。先生たちが休めるように、お昼寝や延長の時だけ子どもを見る仕事があって。それは免許がなくてもできるんだけど。でも、それだけでは食べていけなかったから、パン屋でもバイトを始めて。

川口:そこでパンの技術を学んだんですか?

大塚:いや、そこではまだ配達だった。他にもいろいろなところで働いた。でも、そろそろ結婚を考えていたから正社員になろうと思って。もともと母親がずっと縫製の仕事をしていたこともあって、縫製も嫌いじゃなかったし工業用ミシンも使えたから、そういう会社に就職して。でも、ちょうど産休と重なって、実際は全然働けなくて笑。2人目が落ち着いたあたりでまた新しく仕事を探そうと、別の会社で同じく縫製の仕事を始めた。でも、子どもを預けて仕事に行く日々が結構大変で。それと同時に、会社のために働くっていうことにだんだん疑問をもってきて。

川口:疑問をもったきっかけってあったんですか?

大塚:それこそ、パン作りを始めたからかもしれんね。

お客さんとじかに触れ合える喜び

川口:そもそも、パンとの出合いは何だったんですか?

大塚:出産して家にずっとおった時、子育てと家事だけしとって、無力さにさいなまれることがあって。私が専業主婦に向いていないタイプだったからかもしれんのだけど。その時たまたまテレビでパン作りをやっていて、それを家でやってみたん。そしたら楽しくて、家の近くに子連れで通えるパン教室があったから行ってみた。

川口:いいですね。

大塚:それで家でもパンを焼くようになって。道具がなかったから揃えて。だんだん友達にも食べてもらうようになって、少しずつ販売も始めて。

川口:それはうれしいですね。

大塚:そう、今思えば、それがうれしかったのかもしれない。会社だったらお客さんとじかに接することはなかったけど、パンは自分でやってるから、お客さんに商品をじかに渡せるやん。そこが良かったのかもしれない。自分の思うようにもできるし笑

川口:それでお店を出されたんですか?

大塚:うん。でも、パンが特別大好きっていうわけでもなくて笑。

川口:えぇ笑

大塚:私は結局、「何かを提供して喜んでもらうこと」が良かったのかもしれない。たまたまそれがパンだったっていう。

川口:お客さんと直接やりとりして、ダイレクトに反応を感じながら働くこと。そこに魅力を感じたんですね。

“モノづくり”を続けたい

大塚:でも最近、パン作りも体力的に持たないなぁと思ってきて笑。他にも何ができるだろうと思った時、ネット販売とかどうかなって思って。何を売ろうかと思った時、やっぱり服に戻るだよね。

川口:縫製もやっぱり好きだったんですね。

大塚:今はリネンでいろいろやろうと思っていて。今日着ているこの服も自分で作ってて。

川口:わぁ、すごい。

大塚:自分が作った服を着て仕事をするとか、それがわりと夢だったていうのもあって。

川口:これからは、パン屋もやりながら、服も作る?

大塚:いや、どっちもやるっていうのは不可能だと思っていて笑。何かを立ち上げるのには何かを削らんと無理だなと。でもまあ、バランスをとりながら一緒にできたらベストだけどね。

大塚:今までいろいろな仕事を経験してきて思ったのは、私は結局、“モノづくりが好きなんだな”っていうことかも。

川口:確かに、パン作りも縫製も、美帆さんの根底には、“モノづくり”が好きって精神があるんでしょうね。でもそうやって、どんどんやりたいことが出てきて、常にパワーアップしていくのが素敵ですね。

大塚:英語もやっていきたいし笑

川口:わぁ。美帆さんって、やっぱり常に変化を求めちゃうんでしょうね。

人との“縁”を大切に

お店に行く前、実は美帆さんから「よろしくお願いします」とメッセージをもらっていました。友達を通じて紹介してもらった縁ですが、そのメッセージだけでも、美帆さんという人柄が伝わってきます。

「その時その時の縁を大切にしたい」という美帆さん。いろいろなことに興味を持ち、壁にぶつかりながらも常に行動し続けているからこそ、変わっていけるのだと思います。そしてその根底にあるのは、“モノづくり”の精神。その根っこを太くしていくのもまた、美帆さんの行動力なんだと感じました。

「英語が喋れる人は、喋れる環境を自分で作れる人」。美帆さんの生き方が、その言葉に詰まっているような気がしました。

みなさんもぜひ、気軽にお店に行ってみてくださいね^ ^ かわいい美帆さんとおいしいパンが待っています♪

●店舗情報

a little bakery&cafe「OTUKA みほパン」
住所:京都府京丹後市網野町浜詰46-28
☆オープン日等、詳細はインスタグラムをご確認ください。

▼インスタグラム
https://www.instagram.com/otuka_tamamiho/

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