Precious Plastic Tangoの挑戦 #4 ~ドームテント、ついに完成~

2022.1.24

ハラコー

随分と間が空いてしまいましたが、『Precious Plastic Tango』というプラスチックゴミを再利用したモノづくりプロジェクトの密着取材第4弾をお届けします。

これまでの記事を読んでいない方は、お時間ある時に#1からお読みいただけるとうれしいです(^^♪

Precious Plastic Tangoの挑戦 #1 ~ゴミを価値あるものに生まれ変わらせたい~

これまで、主人公の八隅さんの再生プラスチックを使った新製品開発に向けて、『開発者の想い』、『試作品1号の作成』、『協力者の巻込み』をテーマにレポートをお届けしておりましたが、今回はその後の具体的な開発の取組み状況をお届けしたいと思います。

3Dプリンターを使った試作の現場に潜入

ある日、八隅さんから筆者に連絡がありました。

八隅さん『3Dプリンターを手に入れたので、これで試作品を作ってみようと思います』

筆者は、3Dプリンターというものは高級ハイテクマシーンだと思っていたので、軽い調子で報告してきた八隅さんに、どうやって手に入れたのか聞いてみたところ

八隅さん『もらいました!』

とお返事。

・・・3Dプリンターってもらえたりするんですね・・(なんでももらってくるな、この人)
※八隅さんは前回記事でも近所のお宿さんからテントをもらってきていました

早速、3Dプリンターを拝見しに八隅さんのラボに行ってみたところ、早く使いたくて仕方なかった八隅さん、取材班を待てずにもう3Dプリンターを使ってパーツ部分を作ってしまっていました。

3Dプリンターで作成したプラスチック部品

作成したプラスチックパーツ

これらの部品と木材を使って、小型サイズの試作品を作るようです。

ホームセンターで買ってきたビスを打ち込んでいく様子は、プラモデルでも作っているかのようです。

同じ場所にいた小学生も加わり、まさに工作教室の様相。

『商品開発』という言葉のイメージとはずいぶん違った光景で試作品づくりが進められます。

商品開発のプロセスが環境教育にも通じていて、オープンイノベーションな雰囲気を感じます。

そしてできあがった試作品(2号)がコチラ

Precious Plastic Dome 試作品2号

試作品1号(詳細は過去記事:Precious Plastic Tangoの挑戦 #2 ~プロトタイプ1号の作成~ 参照)は木材の結合部を結束バンドで作成していましたが、今回は3Dプリンターで作成したプラスチックパーツを使い、より完成品のイメージに近づく事ができました。

八隅さん『あとは、このプラスチックパーツを再生プラスチックで作成することができれば、完成にグッと近づきます』

さて、このプラスチックパーツをどのように再生プラスチックで作っていくのか!
八隅さんの挑戦は続きます。

金型の作成現場に潜入

次に潜入したのはコチラ!

京丹後市大宮町に本社を構える『ヒロセ工業』さん

八隅さんは、ヒロセ工業さんに技術指導していただきながらPrecious Plastic Domeに使うパーツの金型を作るそうです。

ヒロセ工業さん 社屋

早速、会社の中に潜入してみたいと思います!

社屋に入らせていただき、ご案内いただいたマシーンがこちら。

宇宙船のようなシルエットのこちら、「5軸切削マシーン」と呼ばれるドイツ製の機械だそうです。

先日は子ども達とプラモデルのように試作品を作っていたのに、今日は宇宙船のような最新の海外製精密機械を使った商品開発・・。
そのギャップに驚きつつ、『いったいこのマシンでどうやって金型ができるのだろうか・・?』

八隅さんはヒロセ工業の社員さんとパソコンモニターで金型の3D画像を見ながら打合せをしています。

八隅さん『この図面データを機械に入力して金型を作るんです』

そ、そうなんですね・・・。
これまでの密着取材ではアナログ感全開でしたが、今回はデジタルデータや最新機器を駆使する一面を垣間見ています。

そしてこの宇宙船のような最新マシーン、図面データを入力して社員さんがポチポチ操作していきます。
小心者の私は、マンガみたいに爆発したりしないかドキドキしてしまいます。

そんな予感が的中する事はもちろんなく、マシーンの中では金属が自動で切削され、金型が製作されていきます。
切削されていく過程では、木材と同じように金属の削り節のようなものができていきます。

金属って、、、こんな風に削れるものなんですね(驚)

5軸切削機の中で製造されていく金型

そうしてできあがった金型がコチラ!!

ばばーん!!

ギラギラと輝きを放つ金型!

この型の中に、プラスチック(プラごみを洗浄、粉砕、溶解したもの)を押し込んでドームテントを作るジョイントパーツを作るわけです!

こんな風に(写真は過去記事より)

あまり詳しい状況写真などをご準備できませんでしたが、地域の企業と連携して商品開発を行っていく過程がステキだなと感じました。

今回ご協力いただいたヒロセ工業さんも、八隅さんの環境に関する活動にとても共感していただき、多くの技術協力を賜りました。

ヒロセ工業さん、ありがとうございました!!
(工場の中がとてもきれい&整理整頓されている会社でした!!!!)

ついにドームの組みたて

金型作りの興奮冷めやらぬ中、八隅さんからご一報がありました

八隅さん『今度開催するイベントで、Precious Plastic Dome組みたてます!』

ついに!
この時を待っていました~(^^♪

お披露目イベントは、『SDGs縁日』(たんぽけの過去記事でも告知させていただいたイベント)とのこと。
イベント前日に組み立てるそうなので、行ってきました。

12月11日にまちまち案内所で『SDGs縁日』開催(^^♪

会場となる『まちまち案内所』に行ってみると、既に組みたてるための準備が始まっていました。

ヒロセ工業で作った金型を使って、既に再生プラスチックのジョイントパーツが出来上がっていました!
早い!!

組み立てに必要な資材は

■再生プラスチック製ジョイントパーツ

■木材(木工所の廃材)

■ビス&インパクト

以上!

これらの資材を大人2人であっという間に組立てていきます。

そして、できあがったのがコチラ!!!!

Precious Plastic Dome1号

すげー!!!!

プラスチックゴミで、こんなモノができてしまうなんて!!

何を作ろうとしているか知った上で密着取材していたにも関わらず、完成した時は驚いてしまいました!!

SDGs縁日当日は、イベントに来られた方皆さん

『これは何なの?』

『アート作品?』

『ジャングルジム?』

と興味津々のご様子。

『SDGs縁日』というイベントは、子ども達にも気軽に遊びながら世の中の社会問題に触れてもらうというコンセプトだったこともあり、商品説明もいたってシンプル。

このカンタンな説明書きで表現されている『プレシャスプラスチックドーム』、作成するプロセスを知らなければ、製作者の苦労は伝わらないと思いますが、プラスチックゴミと廃材でこんなものを作ってしまえるということに、感服いたしました。

プレシャスプラスチックドームについて

八隅さんに、プレシャスプラスチックドームの今後について伺ってみたところ、テントカバーを付属すれば完成と言えるけど、この状態でよければ販売もしようと思っているとのこと。

この状態のプレシャスプラスチックドームは

89,000円(税別)

で、 Precious Plastic Tangoから購入できるそうです。
(個別にお問合せください)

八隅さんが代表を務める「丹後エクスペリエンス」HP

用途としては、

・本当にエコなキャンプを実現したい方向けのテントとして

・カフェなどの屋外ブースとして

・環境系イベントなどイベントブースとして

・アートイベントなどの展示として

など、いろいろな使い方が想定できるそうだが、八隅さんいわく

「自由に使ってください。使う時、少しでも海のゴミ問題や山の保全について心を寄せてくれると嬉しい」とのことでした。 

編集後記

いかがでしたでしょうか?

本連載に続報があるかどうかは、まだ分かりませんが八隅さんのように地方から世界共通の課題であるプラスチックゴミ問題に対して、具体的にアクションを起こしていることを知ってほしいと考え、たんぽけ取材班は八隅さんに密着取材させていただきました。

本連載を通じて、皆さんの環境への意識がほんの少しでも変わり、普段の行動に少しでも良い影響があれば、この上ない幸せだと思っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

現場からは、以上です!!!!

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