京丹後市独自の奨学金返還支援補助金、知ってる?

2024.3.15

Inamoto Shinya

2024年度の大学入試が後半戦を迎え、最後の追い込みをかけてる学生さんも多いことでしょう。
僕の従兄弟もそんなひとり。毎年正月には顔を合わせていたのですが、今年限りは新年の挨拶を電話で済ませ、志望校への合格を遠くから祈っていました。

そんな大学進学と一緒に話題になるのが学費や生活費。
多くの学生や親御さんにとって悩みの種になることが多いと思います。
特に学費は大学によって大きく異なるため、奨学金制度を活用するという選択肢もありますが、卒業後の返済に苦労する方も多いと思いように感じています。

そんな奨学金の返済に対し、京丹後市が独自に行なっている素敵な支援制度があったので紹介したいと思います!

今回紹介する制度の概要

下記に奨学金返還支援補助金の概要を引用しますが、簡単にまとめると

  • 認定申請する年度の4月1日において、満30歳に満たない方(令和5年度の募集なら令和6年度に29歳になる方まで対象)
  • 大学、大学院、短期大学、高等専門学校(第4学年か第5学年)、専修学校(専門課程か一般過程)を卒業した方
  • 京丹後市から通勤できる範囲で就業中、または就業予定の方(アルバイトや自営業も対象だが、公務員は対象外)
  • 京丹後市に継続して10年以上定住する意思のある方

上記の条件をすべて満たしていた場合、最大10年間で360万円の奨学金返済補助を受けられます。

「子育て環境日本一」を目標に掲げている京丹後市。令和2年6月に「奨学金を活用した若者の地方定着促進要綱」が制定されたことにより、将来を担う若者の地元への定着促進と人材確保及び労働者の定着と地域の活性化に資することを期待しており、UIJターン者を幅広く対象にする制度になっているようです。

 返還支援額及び支援期間
・補助対象期間に返還した奨学金額で月額上限3万円(ただし、繰上返還・滞納繰越・正規の修業年限を超えた期間に借受けた奨学金は含まない。)
・交付申請を初めてする年度から起算して10年間を上限

 募集対象者
1.大学、短期大学、大学院、高等専門学校(第4学年または第5学年に限る)、専修学校(専門課程または一般課程に限る)のいずれかを卒業した方(年度末卒業予定者も含む)
2.正規雇用等により就業(公務員を除く)し、京丹後市に継続して10年以上定住する意思のある方
3.認定申請をする年度の4月1日において、満30歳未満の方
4.大学等の在学期間に奨学金の貸与を受け、卒業後に奨学金の返還を開始し、滞納していない方など

 補助対象奨学金
1.独立行政法人日本学生支援機構第一種奨学金
2.独立行政法人日本学生支援機構第二種奨学金及びそれに係る利子
3.京丹後市奨学金条例(平成16年京丹後市条例第110号)に基づき、京丹後市が貸与する奨学金
4.国または地方公共団体奨学金
5.大学等独自の奨学金
6.その他市長が認める奨学金

※京丹後市HPより引用(令和6年1月現在)

他の自治体と比べても手厚い支援

地方公共団体としてもU・Iターンを増やす狙いがあり、このような取り組みは増えています。「それならどの地方でもいいよね」と感じて他の地域の情報も調べてみた結果、細かなところで違いがあるようです。

域内の学校卒業者が対象であったり、福祉や医療など就業先の業種を限定している場合も多く見受けられます。
京丹後市は域内の学校を卒業していないIターン者も対象で、就業先の業種も問いません(自営業でもいい)。また、住居は京丹後市内としているものの、就業先は通勤できる近隣市町でも問題ないのも就業の選択肢が広がります。

その上で、最大360万円というのはかなり多い額であり、府内において就業先の業種を限定しない支援で比較すると破格という印象を受けました。

京丹後で暮らす良さを改めて考えてみた

自然が豊かでアクティビティが豊富(特に釣りがおすすめ)

京丹後に来て僕自身がハマったものの一つが釣り。
「海があるし、釣りでもしてみるか」と軽い気持ちで始めたところ、予想外の楽しさにどんどんのめり込んでしまっています。京丹後市は6町が合併して一つの市になったのですが、各町で釣れるものが違うのです。「今日はアジが釣りたいからあの場所へ行こう」「今日はハマチを狙ってみたいからあそこだ」等、日替わりで楽しむことができるのがとても魅力的。最近は船釣りにチャレンジしています。

食べ物がおいしい

お米、野菜、果物、日本酒このあたりは間違いなくおいしいものとして挙げられるのですが、先に書いたように釣りが趣味の僕のオススメはなんといっても海鮮。釣った魚を持ち帰り、捌いて食べる時の多幸感といったら。プリプリの身が口の中で跳ねるようで「生きててよかったー!」と声が出そうになります

機械金属や観光、織物など産業の基盤があり多様な進路選択が可能

僕自身は仕事を見つけてからこちらへ移住しましたが「転職先に困りそうだから、もし辞めることになったらまた別のところへ移住しないといけないな」と考えていました。ところがいざ移住してみると部品製造などで業界大手の会社があったり、美術工芸織物を製造している会社、旅館・温泉の運営やツアー企画を行う会社など、実に色々な業種があることを知りました。実際僕の知人にもこちらで転職に成功している方もいるので、思うよりも仕事面においても選択肢は少なくないと感じます。

車があれば不便さはあまり感じない

スーパー・ドラッグストア・コンビニエンスストア・飲食店・ショッピングモール・病院、どれもちゃんとあります。車がないと一気に不便になりますが、車さえあれば生活に困ることはありません。個人的には通勤も車でできるため、地獄のような電車通勤ラッシュがなくなったことがとても幸せです。

まだまだ挙げられそうで、ちゃんと知れば知るほど味が出る地域だと感じます。

今回この制度を知って感じたこと

2022年の高校卒業後の進路を調べると進学する人が最も多く、約8割は大学や専門学校に進学しているそうです。進学する方が増えた結果、奨学金を借りる人も同様に増加していると思われます。
実際に奨学金を借りている人の割合を調べてみたところ、全国の学生を対象とした令和2年度の調査データがありました。

奨学金を受給している学生の割合は、
大学(昼間部)で49.6%
短期大学(昼間部)で56.9%
大学院修士課程で49.5%
大学院博士課程で52.2%となっています。

(日本学生支援機構「令和2年度 学生生活調査」よりhttps://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2022/03/16/data20_all.pdf

こちらに高等専門学校・専修学校は入っていないので、対象を全学生に広げるともっと数が多くなります。進学した約半数が奨学金を借りていると考えて良さそうです。では、進学した人数はどのくらいいるのか。2022年の大学進学者は63万5156人というデータがありました。
ということはざっくり計算しても31万人は奨学金を借りていることになります。僕の想像よりかなり多く、正直なところ驚きました。

そうなってくると、次に気になってくるのは借入額です。
労働者福祉中央協議会が2022年9月に実施したアンケートによれば、大学生の平均借り入れ額は約310万円とのこと。これも想像より大きい額で重ねて驚きました。借り入れ金が200〜300万円である学生は全体の4分の1もいるそうです。
大卒初任給の平均手取りが約18万円。そこから仮に2万円を返済に充てたとして、310万円を完済するには155ヶ月…なんと12年9ヶ月が必要となります。思わず「うわー…」と声が出ました。
大学を卒業した新卒1年目の年齢は一般的に23歳なので12年後は35歳。結婚し育児をしている可能性も高く、ローンでの住宅購入も考えているかもしれない時期。そうなると、奨学金を返し終わったと思いきや、また新たな支払いが始まるのです。

実際のところ、返済はしんどくないのでしょうか。
先ほどの労働者福祉中央協議会の調査に返済の負担感について尋ねる項目もありました。
「苦しい」と回答したのは、全体の44.5%と半数近くにのぼっています。同時に、4人に1人が、奨学金返済を延滞したことがあるという報告も見られました。

では、奨学金は悪なのか。
そんなことはなく、”お陰で進学を諦めず、希望の学校で学ぶことができた”そんな意見が多数あります。奨学金自体が悪いのではなく、返済の負担が大きいことに問題があるのです。
現在僕自身が親になり、思うことは「子どもが希望する道を歩ませてやりたい」。
そのために貯金をしようとか資産運用をしてみようとか色々な方法を考えていますが、未来がわからない以上、万全な対策は存在しないのです。結果奨学金を借りる事になったとして、このような奨学金返還支援補助金があればどんなにありがたいことでしょう。
今まさに必要としている方に、この情報が届くといいなと思います。

より詳しく知りたい方は京丹後市HPより要綱をご覧ください。
https://www.city.kyotango.lg.jp/top/soshiki/kyoikuiinkai/kyoikusomu/5/teijyushienshyougakukin/18806.html

また、仕事や暮らしに役立つサイトもご紹介しておきます。

【京丹後のジョブなび】
https://kyotango-jobnavi.org/

【北京都ジョブパーク】
https://www.pref.kyoto.jp/jobpark-h/documents/20221213kitajp.pdf

【丹後暮らし探求舎】
https://tankura.com/



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▼「京丹後ふるさとネットワーク」(京丹後市サイト)
https://www.city.kyotango.lg.jp/top/soshiki/mayoroffice/hurusatoouen/2ru310network/18684.html

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