生徒と共に成長するやりがい-地域コーディネーターのお仕事について聞いてみた!-

2024.2.5

けんご

 皆さんは「地域コーディネーター」という仕事をご存知ですか?地域おこし協力隊として、市内の高校に赴任し、高校生と地域とをつなぐ仕事をするのが、地域コーディネーターです。主に、高校の探究授業(自ら立てた問の情報を収集し、分析・議論を通じて学びを深めていく授業)における企画や調査のサポートを行っていますが、生徒一人ひとりの興味・関心に寄り添いつつ地域の人を繋ぎ、高校生の背中を押しながら成長を見守るという面白さもあるお仕事です。

 今回の記事では、地域コーディネーターとして任期を終える3名の地域おこし協力隊の皆さんに、やりがいやコーディネーターの仕事を選択した背景などを聞いてみました!現在、コーディネーターの募集もしていますので(2024年1月時点)、興味を持った方は京丹後市に問い合わせてみてくださいね。

3名の地域コーディネーター

能勢ゆき(のせゆき)さん  赴任先:京都府立峰山高等学校
 兵庫県西宮市出身。学生時代、京丹後市内の農場にてオーガニック野菜栽培の農作業を体験。大学卒業後、3年間京都市内の書店で勤務を経て、京丹後市へ移住。

着任背景
 京丹後に来る前は京都市内の書店で働いていましたが、教育に携わる仕事がしたいと考えていたタイミングで友人から地域コーディネーターという仕事があると紹介されました。概要を聞いた瞬間に「面白そう!選考受けてみよう!」と。笑 いつか教員になりたかったので、それに向けたステップとしても良いなと感じたことも大きかったです。

岡部 萌香 (おかべ もえか) さん 赴任先:京都府立清新高等学校
 東京都西多摩郡檜原村出身。学生時代には、島根県益田市や岩手県陸前高田市で学生インターンとして、NPO法人等の活動に関わり子どもの教育支援や探究活動支援を経験し、大学卒業後、京丹後市へ移住。

着任背景
 就活中に先輩から地域コーディネーターの仕事を教えてもらって、面白そうだなと思い説明会に参加しました。既に他の地域で教育に関連する仕事をしていたので、一旦教育分野から離れようと思っていたのですが、やっぱり面白そうだなと思いまして。笑 移住するのもフットワークが軽い若いうちが良いと考えていたので、じゃあ面接を受けようと決めました。面接の前日には高校の様子や丹後の景観に触れて「良い雰囲気だなぁ」と感じましたね。

李 瓊瑞 (り けいずい)さん 赴任先:京都府立丹後緑風高校
 中華人民共和国青海省西州烏蘭県出身。平成26年に留学生として来日、大学院で農村地域の持続可能な開発について研究し、里山ネット綾部でインターンを行い、都市農村交流等に係るイベントの企画や主催の経験を持つ。

着任背景
 学生時代に農村政策などについての研究をしていました。実際に日本の農村地域で暮らして、地方創生のお仕事に携わりたいと思うようになり、ゼミの先輩から京丹後市の地域おこし協力隊の募集情報をいただいたのをきっかけに、コーディネーターとなりました。

コーディネーターとしての活動

井上 ここからはインタビュー形式で活動内容について伺っていきます!実際に働いている中で、やりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?

能勢さん 高校生ってポテンシャルが凄くあるんですが、行動する前に面倒くささが勝ってしまうことが多いんですよね。やる気を出して動いてくれる時もあれば、そうではない時もあって。

井上 確かに自分が高校生の時も何かと「ダルい」って言っていましたね。笑

能勢さん そうなんです。だけど、本人の中でハマる瞬間はあって、そのきっかけを作るのがコーディネーターの仕事だと思っています。地域の方から言われた言葉とか、プロジェクトを通じて気付いた事とか、きっかけは高校生それぞれですね。ハマるとそこからの熱量は本当に凄くて、フットワーク軽く人に会いに行ったりイベントに出たりしてくれた結果、「丹後も面白いじゃん」と感じてくれて、より課外活動に積極的になってくれた生徒もいます。その熱量が周りの友だちにも伝播して、気付いたらプロジェクトに関わる人が増えていることもあって、その仲間たちと困難を乗り越えて成長していく姿をみると、やってて良かったなと実感しますね。

井上 それは嬉しいですね。岡部さんはどうですか?

岡部さん そうですね、学外で高校生の成長をみられる事が楽しいですね。最初は自分の話しか喋ってくれない子が居たんですが、地域の方とのコミュニケーションを重ねていった結果、相手の話をしっかり聞けるようになって、返答もちゃんとできるようになって成長を感じました。

井上 確かにそれは成長感じますね。

岡部さん そんな高校生の成長する姿を学校で先生たちと共有して、一緒になって生徒の成長を喜ぶ瞬間は嬉しいですし、やりがいを感じますよね。

井上 なるほど、李さんはどうでしょうか?

李さん 高校生たちの目がキラッと輝いた瞬間ですね。ある二人の生徒は、0から慣れないことに挑戦してくれて、現状調査、イベントの企画、運営、チラシ作りなどすべて行ってくれました。辛い時期もあったと思いますが、私や先生で励ましの声をかけ続け、最後までやり切ってくれ、今では二人とも京丹後市で就職し働いています。卒業後に街でばったり出会って「李さん!」と微笑みながら呼んでくれた瞬間は忘れられません。立派な大人になったなぁ。

井上 高校生と良い関係性を築けたことの分かるシーンで良いですね!皆さんそれぞれ任期を終えますが、振り返ってみて感じることはありますか?

能勢さん そうですね、私はコロナの影響もあって任期が4年だったんですが、長く続けていると成長した生徒の姿をたくさん見ることができました。特に高校1年生は、多くの情報を吸収するタイミングだと感じており、色んな伝え方を生徒たちにできるようになったと思います。

井上 実体験があってこそ語れることがたくさんありますよね。

能勢さん 令和5年度は、1年生の授業で話をさせてもらう機会が多かったのですが、そこで問を立てる意味であったり、外にでる面白さというのを積極的に伝えることができて、結果的に活動的な生徒が増えたんですね。それは私が4年間で経験したことを言語化して伝えられるようになった結果なんじゃないかなと思ってますし、自分が成長したなと実感したことでもあります。

井上 自分の成長を実感できる瞬間は大事ですね。岡部さんはどうですか?

岡部さん 探究のサポートってやっぱり難しいですし、模索しながら活動し続けた3年間だったなと思います。生徒の思いを聞いて、自分自身も迷いながらサポートしていた時期もありましたが、地域の方や先生達とも一緒に悩みながら進んできた感覚で、それは自分の中では大きな経験になったと思います。

井上 答えのない活動だからこそ悩む事も多いですよね。

岡部さん あとは、ここに居るコーディネーター同士で悩みをシェアしたりできる場があったので、安心して活動をしていけたなと思います。

井上 李さんはどうでしょう?

李さん 大人の「こうすべき・これが正しい」という意識で介入しすぎずに潜在ニーズを分析し、適切なタイミングでプロジェクトの目的に合わせた助言を行うことで、生徒と良好な関係が構築でき、信頼を獲得することができました。

井上 おお、それはすごいですね。

李さん そんなフォローを続けたことで、生徒がどんどん成長していき、教職員の皆さんからの信頼も得ることができました。授業だけに関わらず、生徒の悩み相談・進路指導も任されるようになる関係を構築できたことは、「傾聴力」を武器に生徒や教職員とのコミュニケーションを円滑に行うことで得られた結果だと感じています。

井上 探究の授業だけに留まらない教職員との関係性が築けたんですね。すごい。本日はお話聞かせていただき、ありがとうございました!

地域コーディネーター募集中

 「高校生のお話聞いてくれませんか?」と僕も何度か探究学習に関わらせてもらった事がある。高校生の内に秘めたものを感じた一方、それが上手く言語化できていないまどろっこしさも同時に感じる時間。そんな時に頼れるのが地域コーディネーターの彼女たちで、高校生たちの心境や状況をしっかり代弁し、時には同じ熱量で話をしてくれます。この場では聞き切れなかった思い出深い事や辛いこともたくさんあったと思いますが、常に高校生の味方であり安心して頼れる存在として、任期を全うした3人。彼女たちの想いが高校生を動かし、京丹後をより面白くしてくれているんだなと、実感した時間でした。

 そんな地域コーディネーターのお仕事をしてくれる人を現在、京丹後市では募集をしています。興味を持たれた方はこちらのページより京丹後市へ問合せをしてみてくださいね。

 https://www.city.kyotango.lg.jp/top/soshiki/mayoroffice/commu/chiikiokoshi/19709.html


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