「楽しいと思えることを仕事に」Uターンで深まる丹後の魅力・三好晶子さん

2023.11.20

川口優子

網野町出身で、現在はUターンし、峰山町にある「小野甚味噌醤油醸造株式会社(以下、おのじん)」で働く三好晶子(みよし・あきこ)さん。「丹後を出てから、丹後のよさに気がついた」という三好さんに、Uターンの理由と、仕事に向き合う楽しさを伺いました。

おのじんで働く三好晶子さん

「丹後に帰りたい」と思ってUターン

三好 ずっと関西で働きたいなと思っていたので、東京都内の大学院を卒業した後は、京都市内に引っ越してきて出版社に就職しました。

と三好さん。宮津高校(現・府立宮津天橋高)を卒業し、好きだった英語を勉強するために東京都内の大学へ進学。翻訳や通訳の仕事への憧れから、4回生のときにはイギリス留学も経験しました。「でも、レベルが高い人たちがいっぱいいて、(翻訳や通訳の仕事は)厳しいなっていう感じで」と笑いますが、大学院でも英文学や翻訳の知識を深めるとともに、翻訳会社でアルバイトするなど、英語に囲まれた毎日を送られました。

三好 京都市内には大学や研究所がいっぱいあり、就職した会社では、それらの広報誌を作っていました。「広報の仕事なんてできるのかな」と思っていたんですけど、英語のスキルをいかしてインタビューをすることもあり、役に立てている実感がありました。

そして、働き始めて丸5年、「そろそろ丹後に帰ろうかな」と考えるようになったそうです。

三好 丹後を出てから丹後のよさを感じるようになり、学生時代もぼんやり「丹後に帰りたい」と考えていました。ですが、京都市内で就職できたし、何より丹後は仕事がないと思っていました。でも、5年たってできることが増えてきて、そろそろ転職しようかなと思ったとき、今が丹後に帰るタイミングなのかもと感じて。それで、丹後で仕事を探しました。

店頭で接客も行います!

働くなら、自分の好きな分野で

転職活動の時期はコロナ禍だったこともあり、オンラインで面接試験を受け、見学を経て、2022年の4月に就職しました。

三好 広報の仕事がしたいとは思っていたんですけど、「どうせだったら、自分が好きな分野で、好きなことを広報したいな」と思い、おのじんを受けました。食べることも作ることも好きだったので、“食”に興味がありました。

おのじんさんは、大正元年(1912年)の創業以来、味噌・醤油づくりを続けている老舗。地元の食材も使いながら、おいしく安心して食べられる商品を製造するとともに、最近では、ヨーロッパやアジアへの海外輸出もされています。三好さんは営業として、百貨店やレストラン等への法人営業の他、会社のホームページやSNSを更新するなど広報全般を担当しています。

三好 おのじんの商品は、丹後の食材を使ったものが多く、素材にもこだわっています。商品の紹介をしながら「丹後にはこんないいものがあるんです」とか「素材をいかしてこんなにおいしいものができますよ」という丹後の魅力も伝えられることがとても楽しいです。

「調味料は、料理の引き立て役」と話す三好さん。お客さんから「このお醤油を使うと味が決まる」と喜びの声を聞くと、お客さんの食卓を縁の下で支えていることが実感でき、やりがいを感じるとのこと。

おのじん店舗(京都府京丹後市峰山町杉谷300)
店舗にはこだわりの商品がずらり
SNSでは商品を使ったレシピの提案も発信

ふるさと納税は、京丹後とのつながりを感じるもの

おのじんさんは、事業拡大および販路開拓に向けて「ふるさと納税3.0」にも取り組まれています。ふるさと納税3.0とは、京丹後市が地場産品の創出を支援し、ふるさと納税を通じた地域経済の活性化を推進するために事業者に行っている補助制度です。参画事業者は、ふるさと納税制度を使ったクラウドファンディングで支援を募り、集まった寄附に応じて交付される補助金を使って地場産品を開発。その産品を返礼品として寄附者にお届けする仕組みです。
(詳細はこちらからご覧ください https://furusato-kyotango.jp/cf/project.php

おのじんさんは「京都伝統の味を広めたい!小野甚醤油・ドレッシング増産プロジェクト」として、加工場に「ハンドスクェアド(手動式充填機)」や「低圧サニタリーびん詰ポンプ」といった瓶詰め工程に必要な設備を導入することによる、生産量の拡大を目指されています。

三好 東京や京都に住んでいたころは、丹後のことを“離れているけどわりと気になる地域”みたいに感じていました。東京や京都で出会う丹後出身の人と話してみると、「まだ帰らない」とか「ずっと東京にいる」けど「丹後のことが好き」みたいな人も結構いるんだということが分かって。ふるさと納税は、そういう人たちが、地域のために協力できて、故郷を身近に感じてもらえる制度だと思います。そういう方々に、ぜひご協力していただきたいですね。

◆おのじんさんのプロジェクトはこちら(京丹後市ふるさと納税特設サイト)◆
(期間:~2023年12月31日まで)

◆返礼品はこちらから(楽天市場)◆

返礼品の一つ『木桶三年熟成醤油「甚左衛門(濃口)」』

一歩ずつチャレンジしていきたい

三好さんに、今後の展望を伺いました。

三好 仕事でも個人でも、まだまだやってみたいことがあります。例えば、塩こうじ作りや味噌作りのワークショップを開いてみたいです。昔は、各お家でも味噌作りをしていたので、“発酵”が身近にあったように思うんですけど、今はそうではありません。発酵食品って、腸の環境を整えたり消化を助けてくれたり、身体にすごくいいんです。ワークショップやSNSでの発信を通して、発酵そのものの良さを、ちっちゃい子どもや、そのお父さんお母さん世代にも、もっと知ってほしいです。そして、“発酵ファン”を増やしていきたいです。

人生のモットーは「楽しむこと」と話す三好さん。

三好 丹後にいても視野を広くもって、いろんなことに挑戦していきたいです。今までやってきたことだけではなく、なんでもやってみたいというか、新たに「こんなことも、あんなこともできるようになった」って思えるのが楽しいです。一歩ずつチャレンジしていって、楽しみながら成長していきたいです。

「広報をしていて、お客さんから思わぬいい反応をいただくと、うれしく思います」

培ってきた力をいかし、「楽しい」と思えることを仕事にしている三好さん。弾む声から、充実感が伝わってきました。

▼おのじん – 小野甚味噌醤油醸造|京都・丹後の味噌・醤油 醸造・販売
https://www.onojin.com/
(これからの季節は、お鍋にぴったりの「ぽんずむらさき」がおすすめだそう。煮炊き物には、入れるだけで味が決まる「だし入りのお醤油」もあるとのこと!)



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