悔しい悔しい無念の途中リタイア。暑さと闘ったレース記録!~丹後100kmウルトラマラソンレポ④~

2022.9.19

けんご

 今年の丹後100kmウルトラマラソンが終わりましたー。僕の結果はタイトルの通り、途中リタイアとなり完走することができませんでした。先日のレポで完走への想いを綴っていただけに、悔しくて悔しくて、キィーっとなっています。とはいえ人生そんなこともあります。来年への出場も決意しているので、振り返りと共に当日の様子をレポートします!!

前夜から当日の朝

 当日のことから少し遡って前夜のことから。準備などの話は前回の記事でお伝え済みなので、前夜の寝る前から起きて会場に到着するまでの流れを!

 前日の夜は身体にエネルギーを蓄えたかったので、妻にトンカツを作ってもらいお肉とお米をモリモリ食べました。当日は午前2時半には起きたかったので早めに晩ごはんを済ませて20時には就寝。ここ1週間は20時頃には寝ていたのでスムーズに床にはつけました。前夜ということで、緊張というか興奮もあってか浅めの睡眠だったと思います。浅めとはいえ眠れず、、という状態ではなかったので程よく眠れた感じですね。

 午前2時半に起床。とりあえず、起きてすぐにおにぎり2つと味噌汁、みかんを1つ食べてエネルギーを蓄えます。レース開始の1時間半前には食事を済ませて食後感が出ないように無理やり詰め込みました。笑

 これで、レース前の晩~朝にかけて2000kcalは摂取できたいたのではないかな。食べるのが好きな人間なので、この辺りに苦労しないのは得ですね。準備物の最終確認やコロナの抗原検査をやって、準備完了!3時半頃に家を出発しました。

ランニングシューズに計測のチップも付けていざ出発!!

独特な雰囲気の本番会場

 会場近くの知り合い宅に車を停めさせてもらい、徒歩で会場へ向かいました。夜明け前なので真っ暗闇の中を車で向かうのですが、会場近くの空は明るく光を放っています。普段の静けさとは異なる雰囲気にテンションが上がります。個人的には僕の地元(鹿島アントラーズのある鹿嶋市)でサッカーのナイトゲームがある感覚と似ています。

 入り口で検温や体調管理のアプリ結果などを照合して会場入り!いつも静かな網野の体育館や図書館のある場所がランナーだらけのレース会場に!!!

スタートのゲート。みんな記念撮影やらでワイワイする一方で座り込んで闘志を燃やすランナーも。
めっちゃランナー!!こんなに人が一挙に集まることは祭り以外ない。

 僕のスタートは4:30だったので、30分くらい余裕があり、会場をウロウロ。知り合いに会えるかなと思っていたのですが、1000人くらい?のランナーが居るので会うこともできず、水分をマイボトルに補給したり、会場の当日アナウンスに耳を傾けたりしながら過ごしていました。

 他のランナーもアップをしたり、直前まで座り込んで休んだりと人それぞれの過ごし方をしていました。ウルトラマラソンの面白いところは、個人でエントリーしている人が多かったり、過酷なレースが待ち構えているので、静かなる闘志が会場を渦巻いています。これは何とも言葉では形容しがたい、夜明け前の雰囲気もあり、不安やら興奮やら闘志やら、色んな気持ちが渦巻く会場。。

 僕が初めて出場した時は、何とも言えない雰囲気を味わいながら、この場所に立てた感動に震えたことを覚えています。自分で言うのもアレですが、100kmに挑戦するランナーってホント凄いです。

 そうこうしている間に4:20組のスタート時間に。みなさんスタート地点にぞろぞろと集まってきます。大会の役員さんから挨拶や注意事項の説明があった後、司会の方の掛け声「5・4・3・2・1・スタート!!!!」の合図と共にスターターピストルが鳴りレースがスタート!

4:20出発組でスタートラインに並ぶ皆さん。ごごごごご。


 それに続いて僕も4:30組として、スタート!!!必ずと言っていいほど、「みなさん笑顔で帰って来てくださいねー!」と司会の方が言うてくれるのですが、まさにその通りで完走率が50~60%と考えると、半数はリタイアするので笑顔で戻ってこれません。当事者からすると、生きて帰ってくるぞー!くらいの気持ちでスタートしてます。ホントに。笑

ここにいる半分くらいがリタイアすると思うと。。身が引き締まる。

序盤~第2関門でリタイア

 スタートしてすぐは団子状態なので、なんだか落ち着きません。出だしの緊張感を引きずっていたり、周囲につられてペースが乱れたりで、個人的には毎回居心地の悪いスタートです。笑 そのうち、信号機に捕まって団子が割けたり、各々がペースを掴み始めるので、なんとなく自分の周りも同じペースの人に固まってきます。1個目のエイドステーション(今回は網野駅)以降から、そんな状態になりました。

 スタートから30分間は真っ暗の中を走り、5時を過ぎたあたりから徐々に明るくなってきます。今年はコース変更もあり、網野駅を越えて木津温泉駅方面へ向かう坂道の途中から夜明けを感じました。5時半頃にはこの通りの明るさ↓。

早朝に木津温泉駅付近の歩道をガンガン走るランナー

 今回からのコース変更で、七竜峠の往復が無くなりました。その代わりにフルーツラインという網野~久美浜へ抜けるちょっとした峠道がコースに追加されています(個人的には七竜峠のしんどさと比べると4分の1くらいかな)。僕は6時前にフルーツラインへ突入!

フルーツラインの看板。この先にちょっとした峠道が待ち構えている。

 フルーツラインの峠道は序盤の序盤。レース中には久美浜湾一周後に訪れる七竜峠、そして丹後ウルトラマラソン最大の難所である碇高原への峠道と厳しいコースが後に待ち構えています。だからといって無理をせず、急な傾斜は歩いて下半身への負担を極力かけないようにします。

画像では伝わりにくいですが、そこそこ急な坂があるフルーツライン。

 ここまでいいペースで走れており、朝日も浴びて爽やかな感じ。ただ、風はほとんど無くスタート時の気温も28℃、湿度は80%を越えていたので、ここから上昇する気温に対しては不安がありました。とりあえず、朝の涼しいうちにサクサク走ろうと、混雑しているエイドステーションはスキップしながら距離を稼ぎます。

久美浜に入り、朝日に照らされるかぶと山。

 ちなみに早朝ながら沿道にはちらほら応援してくれる地域の方々がいらっしゃいます。4時半のスタート直後でも、家の前に出て応援してくださる人がいるくらいです。なんだかんだで声援って力になるので、ありがたいですよね。この久美浜に入った辺りから日差しが強くなってきます。

20km通過の看板。2.5kmごとに看板が出ているのでランナーとしてはありがたい。エイドの案内も丁寧。
ギラついてきた日差しの中、久美浜の町中を駆け抜けていきます。

 町中を抜けた後は少し山道を越えて湖畔沿いを走るのですが、この時間帯がちょうど朝凪でほぼ無風。久美浜湾からの日差しも反射して、かなり熱を感じた場所でした。

太陽ぴかーん!照り返しも、ぴかかーん!!

 いよいよ暑さが本格化してきたなー、というタイミングでも後のことを考えてペースを落とさず走り続けます。前回に完走できた時によかったのが平坦な道でサボらないこと。特に後半は坂が増えて歩く時間や走ってもペースが落ちるので、とにかく平坦な道で時間を稼ぐことが重要でした。熱を感じながらも久美浜湾一周を終えて第一関門へ到達!

指定された時間内に通過しないと失格となる関門。エイドステーションも兼ねていて内容が少し豪華。

 ちなみにこの関門では、へしこおにぎりが置いてあったので飛びついて食べました。笑 エイドステーションは小まめに設置されているのですが、それまではバナナかバームクーヘンや菓子パンを食べてエネルギー補給。各エイドステーションには休憩できるような場所も設置されているのですが、時間を浪費したくないので1分以内には補給や給水を済ませてレースに戻ります。

 第一関門突破後は、海岸線沿いを走るので風を感じながら走れました。この辺りは果樹園が広がっていて、ある直売所では梨をフリーで提供してくださっていて、美味しくいただきました。地元の方の優しさを感じるー。

浜詰の温泉街。沿道の応援も増えてきたけど、暑い!!

 海風を感じているのもつかの間、難所である七竜峠に突入します。スタート直後にあったフルーツラインとは異なる、いわゆる峠道。最初に急な上りがあり、塩江という集落の中を下りながら走り、集落の終わりと共にまた上ります。急な上り道が続くので歩くことが増えます。

七竜峠序盤の上り坂。無理せず歩く。

 焦る気持ちを抑えながら、歩き続けて七竜峠の展望台に到達。この時点で9時過ぎ。前回に完走した時と比べると40分ほどの余裕があり、順調なレース運びができているなーと感じていました。

峠を越えるとちょっと安心するなー。

 七竜峠に入ってからは雲に太陽が隠れている時間も多く、ラッキーな時間帯に上りを終えられたなと。エイドステーションでエネルギー補給後は、一気に下ります。歩いて遅れてる分を取り戻すようなイメージで下りますが、下りこそ下半身に負荷がかかるので飛ばしすぎは注意。してたつもりだけど、ここで飛ばしすぎた感あったなー。。

七竜峠の途中でフルマラソンの距離を通過。フルの距離はまだ通過点。
この辺りは景色もめっちゃキレイ!走ってなかったらドライブ日和だったなー。

 七竜峠を下りきり、浅茂川漁港のエイドステーションへ。ここで妻と子どもがお出迎え。家族の応援ほど力になるものはないなー。労ってくれる妻の傍ら、息子は暑いわーという表情をしながら呑気にジュースを飲んでました。笑 このエイドステーションではうどんが出ているので、うどん好きの僕としては絶対に食べます。少しだけゆっくり休憩をして、浅茂川漁港を出る。

 ここからのレースがしんどかった!というか今回の限界を味わった時間でした。日差しはどんどんキツくなり、コースは沿岸部から内陸へと移っていきます。気温も日差しも厳しくなっていくのに、熱のこもる内陸に向かわないといけないハードモード。ここが耐え時だと分かっていながらも辛かったなー。。

日差しがキツくなるほど美しく彩られる八丁浜。
丹後王国付近の坂道。普段はラクラク走れる場所がホントにキツかった。

 平坦な道こそサボらずに走り続けたものの、厳しい日差しと暑さで一気に疲労感が身体全体を襲います。サボれないけど気温も上がる時間帯で、碇高原前に時間も貯金しておきたいこのタイミング。少し歩いては走り、少し歩いては走りを繰り返しながらとにかく足を前に運びました。

 このタイミングくらいから、太腿の付け根に痛みを感じ始めました。今までの練習や本番では感じたことがない痛みに戸惑いつつ走り続けていましたが、丹後王国付近の坂道を下りきった辺りから痛みでうまく走れません。

 「あ、これはマジでヤバいかも」今回のレースでも、途中で動けなくなる人は何人か見てきましたが、まさか自分も?という心境。第二関門の弥栄公民館には十分間に合う時間だったので、歩きながらとりあえず考えてみる。

 前回と比べて時間的な余裕はあるけど、この地点でこの痛みはなかった。この痛みをコントロールしながら碇高原までの道のりを走ることはできるのか?仮に碇高原まで到達したとしても、今の状態で坂を下る?症状を悪化させてしまわないか?痛みに引っ張られて補給も崩れないか?

 色々なことを考え、痛みとも向き合い、出した結論は「リタイアする」でした。弥栄公民館の関門には制限時間の20分ほど前に歩いて到着。走っていれば30分の貯金は作れたと思います。迎えてくれた妻は心配そうな表情をしながらも僕を労い、健闘を称えてくれました。弥栄公民館では丹後の郷土料理、ばら寿司を食べる事ができるので妻が持ってきてくれました。悔しさで味がしなかったけど、子どもは無邪気に「パパ!パパ!」と僕がそばにいることを喜んでくれていました。

 スタートから約7時間半、54km地点でリタイア。このリタイアを糧にするしかない。少しゆっくり休んでから、妻の車に乗ってスタート&ゴール会場に戻りました。シューズに付けている計測タグを返却するのが目的で、あー終わってしまったなーと思いながら、移動中に60km部門を走るランナーを眺めていました。

 驚いたことにゴール会場では既に100kmのトップランナーがゴールをしていました。僕らが到着した時には5位の方がちょうどゴールテープを切っていて、会場アナウンスで祝福されていました。うーん、悔しい!!悔し切ない気持ちが勝ってしまい、ゴールゲートの写真は撮り忘れてしまいました。笑 完走するランナーを後目に、計測タグを返却して会場を去ります。

 来年こそは、、、そんなやるせない気持ちだったけど、会場にいたスタッフのお姉さんを見つけるや嬉しそうに追いかける男丸出しの息子をみて、力が抜けました。まぁボチボチがんばろ、と。笑

リタイアを決めた弥栄公民館、併設されている病院は去年マムシに噛まれて入院した場所。。

来年に向けて

 ちょうどレースのリザルトも出ていて、100km男子の部は完走率が43.3%、過去最低だった2012年大会の47.3%を更に下回る結果でした。1239人がレースに参加し、完走できたのは536人。ちなみに前回大会の2019年は54.3%、2018年は56.5%。平均気温は27.8℃、最高気温は31.2℃、気温計測地点は海沿いの間人地区なので内陸部はおそらくもう少し気温は高かったと思われます。完走された方、本当におめでとうございます!!!

 改めてレースを振り返ると、リタイアした原因はいくつか考えられました。まずはペース、1キロ7分ペースで序盤はずっと走っていた事が予想以上に負荷がかかっていました。練習ではもう少し早いペースで走っていたので何とかなると考えていましたが、現状ではキロ7分のペースだと50kmまでしか持たない身体だったのだと。

 また、前回の完走時とくらべて仕事が農業→デスクワーク主体に変わったことで、下半身の筋力の衰えが予想以上にありました。筋力だけでなく、耐暑性もかなり落ちていたのもリタイアの原因となりました。他にも七竜峠の下りでスピードを出しすぎた点や、時間を貯金するために焦っていた点など色々挙げられます。

 逆に良かった点は、熱中症にかからないよう栄養補給できたこと、当日に万全のコンディションで臨めたこと、ぶっ倒れる前にリタイアを決断したこと、あたりかな。ちなみに太腿の痛みは一晩経ってかなり回復しました。ふくらはぎや全身の筋肉痛はここ数日続きそうですが。笑

 来年に向けてすべきことは、大きく3つ。1つ目は練習でまとまった距離を走ること。仕事だ育児だ何かと理由をつけて時間を作れていませんでしたが、今回のリタイアで痛感しました。今は農業もバリバリしてないし、100km走り切れる下半身の強化が必要だと。30km~40kmを峠道を織り交ぜながら練習で走れる習慣を作る。できれば月1回とか、今回のレースで鍛わった筋肉をそのまま活かしたい。夏場も耐暑性を上げるために日中無理のない距離を走る。

 2つ目は、ウルトラランナーとしてのインプットを増やして実践すること。前回大会で変に完走できてしまったことで、自己流のノウハウに固執して参考となる情報を積極的に仕入れられていなかった。ランニングフォーム、トレーニング方法、装備品、補給食などなど、イチから仕切り直しが必要。ウルトラを走るランナーとしての自覚を持つのだ。

 3つ目は、生活習慣の徹底。食事はもちろん、起床時間~就寝時間までを一定のペースで保ちながら日々を過ごす。カッチカチの身体を柔軟にする。体重もこまめに計測してコントロールする。小さいことだけど、日々の積み重ねがナンボ。本番だって100km一気に走るんじゃなくて、エイドの積み重ねだし。

 悔しさに浸る時間も悪くはないけど、次に気持ちを向ける。今回のリタイアが長い目で見た時にきっと、良い経験になっているはず、というかそうなる為の行動をする。

 以前からの記事も含め、読んで応援してくださった皆さんありがとうございます!!これからも、たまに練習報告記事なんかを上げながら来年のレースを楽しみにしてもらえたら嬉しいです。来年こそは、完走できるように日々楽しみながら走り続けます!!

 それでは、また。

 あぁーーーーー完走したかったーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!