丹後に移住して釣りにハマってしまった話

2021.11.11

Inamoto Shinya

「こんな寒い雨の日も釣りに行くんですか!?」
これはまだ僕が釣りにハマる前、天気や気温に関係なく毎週釣りに出かける友人に放った一言。

「天気や、寒さ暑さが釣りに行かない理由にはならない!!」
そう言って凍えるほど寒い雨の夜、彼は海へと出かけていった。

その翌年、ホームセンターで買った2,500円の釣竿セットを持参してお供した釣行で、見事に釣りにハマってしまった。そして、凍えるほど寒い雨の夜に、僕も海へと出かけることになる。
今回は、丹後に移住して釣りにハマってしまった件について。

知識もない、本気で釣りをはじめる気も全く無い

天気のいい週末、みんなで釣りに行こうという話になった。
冒頭に出てきた友人が毎週末釣りに出かける姿を見て、そんなに面白いなら一度やってみようと。

自他ともに認める釣りバカと、僕を含む3人の素人、総勢4人。
素人3人は各々、家にあった父親の錆びた竿、子どもが小さかった時に買ったおもちゃの竿、ホームセンターで買った一番安い竿を持って集まった。

それぞれの竿を見て大爆笑されたのを覚えているが、今思うと確かにやる気を全く感じない道具だ。ただ、それぐらい本気で釣りをはじめるつもりなんて、僕らには全く無かった。

案の定釣れない、そして負けず嫌い

釣りは大きく分けて”本物の餌”を使う釣りか”餌に似せたルアー(擬似餌)”を使う釣りがある。
ルアーは本物の餌と違い、釣り人が意図的に動かすことで魚に「こいつは食べ物だ!」と勘違いさせる必要がある。いかに上手く動かすかが釣果に直結するため、ゲーム性が高い。それ故、最近人気の釣り方ではあるものの、実際に釣るのは難しい。3人の釣り素人はそんなこととは露知らず、釣りバカの友人を真似てルアーを準備してきた。

結果は、もちろん釣果無ゼロ。釣り用語で言うと”坊主”である。
「そりゃそうだ」という声が聞こえてきそうだが、せっかく釣りをやってみたのに何も釣らずには終われない。3人の素人は知識もやる気も無いくせに、負けず嫌いな性格だった。

釣れるまでやる、釣れたら面白いからまたやる

結局「はじめたからには釣れるまでやる」という謎の誓いを立て、何度も海に出かけることとなった。そうすると、さすがに釣れた。

最初に釣れたのは小さなクサフグだったと記憶している。しかしこいつは一般的には”外道”と呼ばれ、釣れてもリリースされる、釣り人的には釣れて欲しく無い魚。そんなことはお構いなしで釣れたクサフグの数を競ったことを覚えている。フグ=高級魚というまさに素人感覚の僕らには、魚が釣れるということが面白かった。

そして、釣れると面白いからと、その後も暇を見つけては海へと出かけた。

悪天候、寒さ暑さが行かない理由にはならない

春告魚(春を告げる魚)と呼ばれる「メバル」
堤防からでも簡単に釣れる「イカ」
ルアーで釣るのは難しく、釣るのが面白い「アジ」
憧れ続けた砂浜の超美味「ヒラメ」
幻の高級根魚「キジハタ(アコウ)」
岸から狙える魚ではとりわけ引きの強い「ハマチ」

カサゴ、キス、マゴチ、スズキ…

僕らはそのあと、たくさんの魚を釣った。
上記の魚は初年度に釣ったものであり「釣りをはじめた素人が最初の年からこんな釣れるわけがない!」と釣り経験者なら思ったかもしれない。なぜこんなに沢山の魚種を(しかもすべて狙って)釣れるようになったかと言うと、

元々詳しい友人の教え&YouTubeでめちゃめちゃ勉強した

多い時は週6日釣りに行った

からである。もちろん、必要な釣具もしっかり揃えた。

「天気や、寒さ暑さが釣りに行かない理由にはならない!!」
この言葉を、いつしか4人全員が言うようになっていた。

いい趣味、いい時間

「一時間、幸せになりたかったら酒を飲みなさい。」

「三日間、幸せになりたかったら結婚しなさい。」

「八日間、幸せになりたかったら豚を殺して食べなさい。」

「永遠に、幸せになりたかったら釣りを覚えなさい。」

中国古諺


中国の古いことわざだそうで、友人が釣りと一緒に教えてくれた。
確かに好きなことをしている時間が人生を豊かにすると思うし、その時間を家族や仲間と共有できるのは本当に幸せだと感じる。写真に続き、一生を幸せにしてくれる”釣り”という趣味を、今後も楽しんでいきたい。

最後に、釣りをはじめて気づいたことがある。海にはたくさんのゴミがあり、漁具がとても多いということ。
ゴミを捨てないのはもちろんだが、気をつけていてもルアーを無くしてしまうことがある。せめてもの償いとして、今週末に開催されるビーチクリーンイベントに参加してみようと思う。