冬といえばカニ!解禁日の事から美味しいカニの食べ方まで、橘商店の吉岡さんに色々聞いてみた~前編~

2022.11.6

けんご

 今年も蟹の季節がやってきましたね。今年の解禁日は11月6日。この解禁日を期に観光客が増えたり、魚屋さんや旅館さんが忙しくなってきたりと、丹後がザワザワしだす時期でもあります。僕は移住して6年目ですが、この空気感には慣れたけど、そもそも蟹のこと何も知らないなーと。正直、京丹後市のキャラクターで僕も大好きなコッペちゃんの名称となっているコッペガニや色んな蟹が食べれる時期が来た、くらいの知識しかありません。笑

 ということで今回から2回続けて、蟹に関する素朴な疑問から僕たちの手に届くまでを、網野で魚屋「橘商店」を経営されている吉岡高博さんにお話を伺ってきました!蟹の基本的なお話から漁港での競りのお話まで、楽しいインタビューができましたので読んでみてくださいね。

カニの解禁日や生態について

井上:いつも橘商店さんでは美味しいお造りを注文させてもらっていて、移住直後からずっとお世話になってますが。。笑 今日はどうぞよろしくお願いします!! 

吉岡高博(以下吉岡):いえいえ、こちらこそお世話になってます!今回の取材に向けて色々調べてきましたよ~。

井上:普段からお忙しくされているのに、ありがたいです!そもそもなんですが、何で蟹は解禁日が決まっているんですか?

吉岡:毎年11月6日頃の立冬、つまり冬の始まりが解禁日になってます。冬になることで蟹の味が美味しいなるということから、毎年この時期に解禁日が設定されているというのが一番有力な理由ですね。

井上:なるほど。昔から年末年始に蟹食べるイメージはありましたが、移住してから蟹=冬の到来、みたいな印象が強まりましたね。

吉岡:そうそう、一応、解禁日前から底引き網の漁が始まると蟹は穫れるもんですが、基本的に逃がしているようで。蟹だけじゃないですが、ある程度ちゃんとルール決めて漁をしないと獲り過ぎて絶滅しちゃうので、そこをちゃんとコントロールする意味でもちゃんと解禁日と終わりが決まっているんじゃないかなと。

井上:確かに、サンマとかも漁獲量減ってるニュース聞きますもんね。

吉岡:ちなみに、カニって成長するのに10年ぐらいかかるらしいです。いわゆる店頭に並ぶサイズになるまで10年!

井上:え、10年!?

吉岡:そうっす!最初はね、ホントに小さいサイズらしいんすけど、生まれてから一時間後には1回脱皮して、それから更に1週間とかでまた脱皮して。段々大きくなりながら、脱皮の周期も長くなってきて、ある程度の大きさと、いわゆる蟹の形になると1年に1回の脱皮になってくる。そっから10回脱皮するらしいですよ。個体によりますが、10回~13回ぐらい脱皮するらしいです。

井上:(そりゃ、高値で取引もされるなぁ)

吉岡:ちなみにメスは10回程しか脱皮をしないようで、最後の脱皮が終わってからはすぐに交尾して、卵を持ち始める。1年~1年半くらい卵を身ごもって、それが孵化したらまたすぐ交尾して時間かけて孵化させて、というのを5~6回繰り返して一生を終えるらしいっす。

井上:(蟹の一生って壮絶だな。。)

たくさんある蟹の種類や美味しい時期について

井上:これから出てくる蟹の種類について教えてもらいたいのですが。。というのも、色んな呼び名や種類があって、正直、何のこっちゃ分からない状態です。笑

吉岡:蟹の呼び方は地域によって違いがあってややこしいですよね!京丹後市で有名なコッペは通称ですね。コッペはズワイガニのメスでセコガニとも呼ばれてて、オスは松葉ガニと呼ばれています。

井上:(雄雌で呼び方違うし通称も絡むんや、ムズいな。。)

吉岡:ちょっと細かい話をすると、ズワイガニにも2種類あって、オピリオ種とバルダイ種とあって。今食べられているほとんどがオピリオ種で、これはロシア産のズワイガニもほとんどがオピリオ種。バルダイ種はオピリオ種よりも少しあっさりした味がする蟹らしいけど、親しい業者さんに聞いてみたら今はほぼ流通していないらしいです。

井上:へー、そうなんですね!(野菜とかでも細かい品種とかあるなぁ。)

吉岡:ちなみに、ズワイガニと紅ズワイガニはまた別の種類なんですよね。

井上:え、そうなんすか、色違いくらいだと思ってました。笑

吉岡:紅ズワイガニは9月1日から5月31日までずっと取れる蟹で、とれる水深もズワイガニと違うんですよね。ズワイガニと比べて紅ズワイガニは少し小ぶりだけど、長期間漁獲できるから安く手に入りやすい蟹かな。

井上:なるほど、名称は似てるけど別物なんですね。ちなみに蟹に旬ってあるんですか?

吉岡:旬というか、解禁日から種類によってとれる時期が変わってくるので、その時期にしかない蟹はあります。セコガニ(コッペ)は12月31日までの漁獲と決まっているので、コッペ食べたいなら年内。

井上:あ、種類によっても穫れる時期が決まってるんですね。

吉岡:そうそう、同時期に松葉ガニも美味しくなってくるので解禁日~12月末まではコッペと松葉ガニが美味しくて、1月に入ると松葉ガニがメインかな。2月になると出てくるのが水ガニ。これは脱皮したばかりの蟹で確か脱皮して6ヶ月以内の蟹のことを指します。

井上:(別の種類出てきた、水ガニ。。)

吉岡:それ以外だと明確な時期はないけど、ももガニって呼ばれている蟹もあって、親指が細い蟹。サイズはさほど大きくないですが、味噌が詰まっていて美味しい。僕らはももちゃんももちゃんって呼んでますね。笑

井上:(う、うまそう。。)

吉岡:水ガニは脱皮したての蟹なので、これも漁獲制限があって2月の20日ぐらいから1ヶ月くらい。とりすぎたらダメなんでね。1日でとれる漁も確か決まってるみたいで、それ以降とれた水ガニは基本的に逃がしているようです。

井上:これから脱皮を繰り返して大きくなる蟹ですもんね。

吉岡:あと、二枚皮って呼ばれてる、脱皮する直前の蟹も12月くらいから、たまに入ってきますね。

井上:え、脱皮前って分かるもんなんですか?

吉岡:見たらわかるっすよ、ちょっと薄皮ができているというか、見た目の色もちょっと違うので分かります。脱皮したら水がにになってしまうので、だから脱皮前の12月頃にとれだす蟹。脱皮前だから味噌を蓄えてて、本当に美味しいので今年是非とも食べてみて欲しいっす!

井上:絶対食べます!!

 ズワイガニ メス → セコガニ 通称コッペ 解禁日~12月末
 ズワイガニ オス → 松葉ガニ 解禁日~3月20日の終わりまで
 紅ズワイガニ   → 長い時期とれる
 水ガニ      → 脱皮したての蟹 2月20日頃から
 ももガニ     → 親指の小さい蟹、美味しい 
 二枚皮      → 脱皮前の蟹、味噌が濃くて美味しい 1月頃に穫れる

美味しいカニの食べ方とカニ価格

井上:色々な蟹についてお話してもらったのですが、種類によって美味しい食べ方ってあるんですか?

吉岡:そうっすねコッペは基本的に湯がいて食べるのがおすすめです!他には、味噌汁にしたり、鍋に入れて食べるのが美味しい。最近だと韓国料理のケジャンなんかにして食べるのもいいみたいですね!

井上:コッペ入れた鍋の出汁の濃厚さ、たまらんですよね。

吉岡:あとコッペは、コッペ飯ですかね。ほぐした身をアツアツご飯にのせて食べるのが一番美味しい。ほぐす手間はかかるんですけどね。笑 あの値段であの美味しさは最高です。

井上:コッペ飯いいですよね~!

吉岡:松葉蟹は、普通に焼く、湯がく、何でも美味いですよね。天ぷらとかも美味しいかなー。蟹全般に言えるかもしれないが、茹でたてはやっぱり美味しい。アツアツの状態で食べるのが個人的には一番好みっすね。冷まして寝かせた方が美味しいという人もいるけど、僕はアツアツ食べるのが一番!

井上:(アツアツ食べてみたいな。。)

吉岡:店頭でタイミングが合えば茹でたてを買うことはできますよ。事前予約とかは受付てないけど、狙って来てくれたら。笑

井上:がぜん、茹でたて食べたくなってきました。。水ガニはどんな食べ方ですか?

吉岡:水がには刺身とかでも食べますし、味噌はそこまでないので、ちょっとあっさりした身を美味しく食べるって感じですね。味の濃さでいうとやっぱり松葉ガにですね。さっき言うてたももかにや二枚皮の蟹はやっぱり味噌。

井上:なるほど、やっぱり種類によって味わい方が違ってくるんですね。

吉岡:そうですね、毎年冬以外の時期にワタリガニとかも食べますけど、全然味が違いますね。やっぱズワイガニは美味しい。

井上:ちなみに蟹の値段ってどう決まるんですか?高価なイメージもありますが、タイミングによって変動が激しい気がしてます。

吉岡:色んな要因はありますけど、サイズとか見た目、身入りで決まってきますね。蟹の種類に応じて○○センチ以上、△△グラム以上とか決まっていたり。身が詰まっていて重ければ値段は上がるし、見た目は傷がないとか、足が折れてないとかですね。

井上:やっぱり見た目も大事なんですね。

吉岡:そうですね、見た目のキレイさもありますけど、どうしても傷がついていると、そこから鮮度が落ちて味も落ちてしまうから価格は下がりますよね。ちょっとでも指が欠けててダメ。

井上:(やっぱり鮮度は大事。。)

吉岡:ブランド蟹みたいな高値で取引されている種類は、見た目の基準が細かく厳しく決めたものがあって、それに加えて身入りが良いとか、足の長さが揃っているとか、色んな要件をクリアした蟹をブランド化してるんですよね。厳しい基準をクリアしている蟹だから美味しいし、数もそこまで多くないから必然的に高値になりやすいという感じ。

井上:なるほどなー。そりゃ美味しくて希少価値も高いんですね。

吉岡:そうっすね。だから間人蟹もそうだけど、独自で基準を作ってクリアした蟹をブランド化して付加価値つけて売っていて。間人蟹だけでなく、それぞれの漁港でブランドタグみたいなのは作って出してるよね。

井上:どこも付加価値出そうと頑張っているんだなー。(後編につづく)