Rainbow School -高校生の想いが600人に届いた日-


「廃校を人々が集うhomeとなるような場所にして、地域に元気を届けたい」

11月7日に旧丹波小学校で行われたイベント「Rainbow School」を発案し中心となって進めた高校生の二人から何度も聞いた言葉。二人の想いが多くの人を動かし、イベントがつくられ、当日は600人を超える人たちが旧丹波小学校に集まった。当日の様子だけでは語り尽くせない、彼女たちの熱意やイベント準備から終了後に至るまでの想いを、運営スタッフとしてサポートしていた筆者目線でお伝えします。


「廃校を活用したイベントをやりたい!」

イベントの半年前、roots(京丹後市未来チャレンジ交流センター)で廃校利用についての相談をした時は、「現実的に、高校生だから無理だよね…」という気持ちがあったと語る、高校2年生の大木さん。もう一人の中心メンバーである安田さんと共に、最初は不安しかなかったようです。それでも一切否定することなく「いいね、やろう!」と背中を押してくれたrootsの相談員、稲本さんの存在がどれだけ心強かったことか。

rootsで書かれた廃校利用への想い。ここからすべてが始まる。


大木さんと安田さんは大宮町出身で、地元の小学校で充実した時間を過ごし、現在も同じ高校に通っている。そんな中、楽しい学校生活を送っていた母校の小学校が廃校になるかもしれないという噂を聞きつけたことが今回のイベントを企画するきっかけです。

イベントの約2ヶ月前に筆者が初めて二人と話をした時、彼女たちから出てくる意志のこもった言葉と真剣な眼差しに圧倒され、「自分の意見を大人の前ではっきり主張できる高校生って世の中にどれくらい居るのだろう…」と感じたことを今でも覚えていてます。とはいえ、学校行事の延長くらいだろうと甘く見ていた筆者の感覚は大きな間違いでした。

参加した最初の会議では、集客に使うチラシのデザインやロゴの製作、出店者への依頼方法の確認など。大人が企画するイベントと何ら変わりのなくタスクが生まれ、役割分担をして、スケジュールを切っていく高校生の姿がそこにありました。会議は1時間きっかりに終わり、「なんて無駄の無い会議なんや…」と自省せざるを得ない時間を過ごしたのでした。

その後も出店者への調整や、チラシ入稿までの製作、当日の企画など、デザイン担当の伊﨑さんと下村さんも含めて、4人の高校生は学校終わりの時間や休日を使って準備を進めていきます。新型コロナウイルスの影響から、イベント事への懸念点や課題も多く、そのひとつひとつを関係者に説明し、乗り越えていく日々は相当タフであったなと、改めて思います。

そんな中でも、自分たちの母校がそうであったように「廃校となってしまった学校を、地域に元気を届けるhomeにしたい!」という熱意が、学校の先生や友達、開催に関わった多くの大人たちを、突き動かしていったのでした。


途切れない熱量

Rainbow School当日まで残り4日、イベント会場である旧丹波小学校での準備が始まる。

廃校になってからさほど時間は経っていない校舎でしたが、まずはイベントで使うエリアの掃除からスタートしました。Rainbow Schoolで使う教室や設備は校舎の三分の一ほどであったので、かなり大掛かりな掃除が必要。さらに物置となっている教室も多く、移動やレイアウト変更などの力仕事も必要で、やることは盛りだくさんの状況。

そんな現地準備初日でしたが、この日は祝日ということもあり、大木さん・安田さんの声がけで同級生の友人たちがボランティアでお手伝いに来てくれていました!十数名の高校生たちが、高校のジャージや動きやすい格好で現れ、一斉に掃除がスタート。もはや学期末の大掃除状態で、筆者も突然自分の学生時代にタイムスリップしたような感覚でした。

黙々と廊下を掃き掃除をする子、背が低いながら頑張って窓を拭き上げる子、「久しぶりに雑巾がけ勝負しようぜ!」と床の雑巾がけを楽しむ子。天候も良かったこの日は、空気も雰囲気も気持ちがよい中で会場準備が進んでいきました。

純粋で真面目な高校生の姿に感心しつつ、大木さん・安田さんの想いが周囲の同級生に強く伝わって、みんながこのイベントを楽しみにしている事を感じた時間でした。大掃除もなんとか終了し、いよいよ会場の設営や装飾が始まります。

各教室で行われる企画の設営はもちろん、会場の装飾から案内マップの作成まで、その全てを高校生4人が準備を進める。マンパワーは…圧倒的に足りていない。笑 稲本さんを中心に、筆者含めrootsの大人たちも総出で準備に力を結集していきます。

4人の高校生が通う高校は旧丹波小学校から少し離れた宮津市にあるので、学校を終えて会場に到着するのも早くて17時頃。あたりが暗くなり始めてから集まると、写真展で使う風船を膨らませたり、装飾アイテムと会場とのバランスに頭を悩ませたり、会場マップを手書きで作ったりと、それぞれが休む間もなく準備に没頭していました。

あまりに集中して作業が進んでいて、暗がりで作業していたら電気をつけてあげたり、帰る時間になっても手を止めない4人に声がけしたり、最後は筆者が宿直の職員ばりに施錠しながら高校生の作業を終了してもらったのでした。

イベント当日が近づきはじめ、体力的にも精神的にも追い込まれ始めていたと思いますが、作業終わりには「明日はこれをしよう!」「この仕事は持ち帰って進めておこう!」といった具合で、イベントに向けた熱量は一向に落ちません。「あー疲れた!準備し過ぎて頭おかしくなる!!!」と言いながらも明日の段取りを確認する姿に、もはや高校生ではない社会人の風格を感じ、「大人も負けてらないないな・・・」思う日々を筆者は過ごしていました。

イベント前日にはrootsの大人たちも集結し、会場の動線確認や、駐車場の案内など、当日の流れを想定しつつ、高校生の設営をお手伝い。最後の最後まで高校生の熱量やこだわりは変わらず、倍ほど年齢が離れたrootsの大人たちへ指示を出し、時には怒られる大人もいたほどでした。笑

できる限りを尽くし、残りは当日の開催時間までに行うことに決め、前日準備が終了。この日も校舎を出ると、あたりは暗く肌寒い空気が広がっていました。準備期間中、その日の作業が終わる頃を見計らってやってくる親御さんたちの姿は毎日あり、親と顔を合わせて恥ずかしそうにする高校生の姿。頑張る我が子を応援しない親なんていないよね。

いよいよイベント当日を迎えます。

楽しく、エネルギーに満ち溢れた空間「Rainbow School」

11月7日の早朝は雲ひとつない天気。

高校生たちの想いが詰まったイベント、Rainbow Schoolが始まったのでした。

言葉では語り尽くせない、楽しさと活気に溢れた空間でした。

来場者数は当初の目標の3倍となる600名を越え、
飲食物や物販は完売するお店が多数。

廃校に多くの人が集まり、笑顔になれたイベント。

高校生たちの想いは、確実に参加者の人たちへ届いたのでした。

イベントを終えて

Rainbow Schoolで全てを出し切った高校生。

中心となった二人のイベント終了後の言葉です。



安田さん

もう、言葉では表しきれないくらい、幸せとしか言いようがない1日でした。

長い準備段階の間には、様々な素敵な大人の人達との出会いもあったし、ミスもたくさんしたし、知らない事をたくさんを知ったし、やり切れるのか不安になる事もありました。 でも昨日ほどの幸せを感じれる日があるなら、そのプロセスすら振り返れば愛おしくて終わって全てが欲しくないなぁ、と感じています。


イベントを通じて、自分たちの夢を実現できたし、自分たちの想いや行動がこんなに人を動かしたり、何かを変える力になるんやなっていうことを、自分自身の肌で感じることができて本当に良かったです。

色んな人に丹後の魅力を知って貰うはずやったのに、振り返れば自分達が1番このふるさとの魅力や愛を感じる事が出来ています。これをスタート地点に限りある高校生という時間やこれからの人生の時間を大切に使って、丹後の更なる魅力発信をしていきたいなと思います!




大木さん

すっごくあったかい気持ちでいっぱいです。

約半年前に初めてrootsに行き、「廃校を活用したイベントがやりたい!」そう思い、口に出したとき、まさか半年後にかたちになっているとは思いませんでした。

イベント当日は、予想を遥かに上回る人がイベントに来てくださり、本当に本当に、嬉しくなりました!それに来てくださった方の笑顔や「ありがとう」という言葉に胸がいっぱいになりました。イベントスタッフもみんな「楽しかったー!!!」って、すっごい笑顔で昨日も今日も言ってくれて、運営していた高校生もとっても生き生きしていました!なんだか、私が1番エネルギーをもらった気がします!

このイベントを通して、さらに丹後に対する思いが強くなりましたし、17年間今まで気づけなかった、丹後の一面に気づけました!そして、このイベントの成功は、「高校生だからできない」ではなく「高校生でもできる!」いや「高校生だからできる!」をかたちとして見せてもらった気がします!私にとっても1つの大きな自信になりました。


言葉では言い尽くせないくらい感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました!




想いを持った高校生がいて、それに協力できる大人がいて、楽しんでくれる地域の人がいて、丹後はこれからもっと面白くなっていくんだろうな、と実感させてくれた1日。イベント翌日、余韻に浸りまくる筆者がいたのはここだけの話。中心となった高校生はもちろん、準備に関わったみなさま、本当にお疲れ様でした!あー、楽しかった。