秋の夜長を読み通す〜繰る手が止まらなくなる本~ #わたしの好きな本

「本が好きだよね?今回のお題で記事を書いてみない?」


かるーーーくこのように話を振られて、内心「こいつは困った」と思った。

確かに、本が好き。気づいたらいつの間にか、本は常に私と日常を共にしていた。
だからこそ困ってしまう。
だってどの本を選んだらいい?

幼少期に好きすぎて暗記してしまった【たまごころころ】という絵本について書こうか?
小学生の時に集めて今も大切にしている【クレヨン王国】シリーズのどれかにする?
中学生の時に友達がすすめてくれた【BAD KIDS】、愛の対象が同性になり得ることをこの本で知ったっけ。
「高校生の今、この本を読めてよかった」と感じた【放課後の音符】も捨てがたい。

音楽もそうだけど、感性に訴えかけるものって触れた当時の記憶を呼び起こすよね。読んだ本たちと共に色んな思い出がドドーッと押し寄せてきて、しばらくそれらに浸る。
そうこうしているうちに収拾がつかなくなってきたので、あわてて今回のお題に集中することにした。

秋になり、夜が長くなってきた。
そんな長い夜を活かして読みたい、ページをめくる手が止まらなくなった本について書こうと思う。

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。/辻村深月

地元を飛び出した娘と、残った娘。幼馴染みの二人の人生はもう交わることなどないと思っていた。あの事件が起こるまでは。チエミが母親を殺し、失踪してから半年。みずほの脳裏に浮かんだのはチエミと交わした幼い約束。彼女が逃げ続ける理由が明らかになるとき、全ての娘は救われる。著者の新たな代表作。

「BOOK」データベースより

どろどろした話や、悲しい話が読めない私だけど、こちらの本はよい意味で切なくなりすぎず、没頭して読んでしまった。それはきっと昼ドラ的要素じゃなくてミステリー色が強いから。
共に学生時代を過ごし、同じことで一喜一憂していた友人が、いつの間にか随分ちがった環境で遠く見えてしまう。
『ねぇ、私、何もない』
この言葉がとても刺さる。
途中で「あれ?」と思い、最後は「そうだったのか」と解が見えて、「やられた!」と両手を挙げてしまう。きっとさらさら読んでしまうはず。

黒い家/貴志祐介

顧客の家に呼ばれ、子供の首吊り死体の発見者になってしまった保険会社社員・若槻は、顧客の不審な態度から独自の調査を始める。それが悪夢の始まりだった。

KINOKUNIYA WEB STOREより

説明文がすでに怖い!しかし中身は比にならない怖さ。
ホラー小説だけど、幽霊などの目に見えないものが一切出てこないのが珍しいと思う。それなのになぜこんなに恐怖を憶えるのか考えてみたところ、目に浮かぶような描写に加え、それらが狂気に満ちているからではないか…という答えが出た。本当に怖いのは霊などではなく―――
覆った手のすき間からついつい見てしまうように、怖いと思いながらも読み進めてしまうはずだ。

火車/宮部みゆき

休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して――なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者なのか? 謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。

新潮社ウェブサイトより

何度読んだかわからない。そして何度読んでも引き込まれて、最後まで一気に読んでしまう。
細やかな描写とスッと入ってくる例えのお陰で、カードローンの仕組みなどの少し難しい部分も挫折せずに読み進められる。
「彼女はどういう人間で、なにを考えてこの行動をとったのか?」
読んでいるうちにあなたもきっと、本間刑事になりきってしまうだろう。
そしてラストを迎えた時、きっと「もっと先まで知りたい!」と叫びたくなる。

本好きが車に乗って運ばれる先は

ここまで書いて、再び「こいつは困った」と感じている。
こうしてそれぞれを思い起こすと、どれもこれももう一度読みたくなっちゃったぞ‥
今すぐ色んなことをほっぽり出して読みたいけど、一応大人なのでグッとこらえて夜を待つことにする。

ちなみに【火車】は面白さがそうさせるのか、今まで三冊所有していて、全て貸出中のまま返ってきていない。
「同じ本を四冊目はさすがに…」と思っていたのに、その思いは今吹き飛んでしまいそうにかるーーーい。
さぁ、車を出して書店へ行ってこよう。
きっと、その一冊だけじゃ済まないはずだけど。

本は気持ちを豊かにするものだから、家計が火の車にならなければOK!だよね、きっと。